第6話 振り返る時じゃない

「お、全員集まってるな。関心関心」


そう言って入ってきたのは剣道の竹刀が入ってそうな細長い袋を2つもったハイフ先生だ。


「遅れてすまんなぁ、いろいろやることがあるんだよ教師は。少なくとも私は」


「はいはい、じゃあこれ入部届な」


ハイフ先生に入部届を出した。


「よしよし、ちゃんと持ってきたね。フフフ、ちょっとこの紙を見ておれ」


そういうと、ハイフ先生が持っている紙は上のほうから徐々に小さな光の粒となって、やがて完全に消えた。


「うおー、すっげーな。やっぱ神様なんだなあ」


ああ、別に疑っているわけでもないが、こうして目の前で見せつけられると、やはり神様なんだということを思い知らされるな。


「まぁ、これはちゃんと受理しておくから。そんなことよりこれ」


ハイフ先生はそう言って持っていた細長い袋を置いた。


「フッフッフ、ご開帳~」


そう言いながら袋のジッパーを開ける。すると中から出てきたのは竹刀なんてものではなく、素人目でも分かるぐらい切れ味の鋭そうな、刀身の白い剣だった。


「安心したまえ、私の神様パゥワーで周りの人には竹刀に見えてる。あ、アヤカちゃんはこっちね」


「あら~、私にぴったりの武器ね」


アヤカが渡されたのは鞭だ。…何が「ぴったり」なのかは知らないほうが良いだろう


「シロさんにだけなら、教えて差し上げてもいいですよ~?」


遠慮しておく。


「クロ君はこっちね~」


もう片方の袋を開けると、同じく切れ味の鋭そうな、刀身の黒い剣が出てきた。


「うおおおおおおお、なにこれ!?めっちゃかっこいいじゃんか!さすが神様、俺たちにできないことを平然とやってのける!そこに痺れる憧れるぅ!!」


「あ、ちなみにこの剣レプリカね」


本物じゃないのか。


「なんかあったら怖いからね。でも向こうの世界に行ったら切れ味抜群強化すればラスボスまで使える最強装備になるから安心したまえよ」


そうか。そう言われると本当に戦うのだなという思いが湧き上がってくる。


「よっしゃ、みんな自分の武器が配られたね?それじゃ、これからのことについて説明していくよー」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る