第2話 いくつかあるであろう回想の一つ

あれは確か卒業式が終わって、クロと一緒に帰っていた時だ(クロとは家が近所なので帰り道が一緒なのである)


「ん?何だあれ」


立ち止まって空を指さしクロがこう言った。巣日を刺したほうを見てみると確かに巨大な金色の何かが空を飛んでいる。

どうせUFOかなんかだろう、そう言って歩き始めようとした。


「いや、あれこっちに近づいてないか?」


そう言われ、じっとそれを見てみた。…確かに近づいてきているような。


「…」


しばらく二人でじっと見つめる。

…やっぱりあれこっち来てるな。


「だよな!?あれが何だろうとここにいたらやばいって!さっさと逃げようぜ!」


クロの提案に頷き、ここから離れようとするが…


「う、動かない…」


体が動かない。かろうじて頭は動かせるが、それ以外が石になったように動かない。

これはまずいんじゃないだろうか。


「まずいんじゃないか、じゃなくてまずいんだよ!なにのんきなこと言ってるんだよ!このままじゃあれに直撃コースだぞ!」


む、失敬な。これでもそれなりに焦っているというのに。


「涼しげな顔して何がこれでも焦ってますだ!ああもう!お前どこか動くとこないのか!?」


動けたらとっくに逃げてる!


「ちくしょう!万事休すか…」


そうこうしてるうちにあの謎の物体Xはどんどん近づいてくる。


オオオ…


「…なあ、あれなんか喋ってないか?」


ゾオオオオオ…


確かに。


ミツケタゾオオオオオオオオ…


「あれ見つけたぞって言ってないか?」


見つけたぞおおおお…


言ってるな。

今気づいたんだが、あの金色って髪の毛っぽくないか?


「それっぽいな、人なのか?」


なるほど、お前の中では人とは空から落ちてくるものなのか。


「んなわけあるか。そんな天空の城みたいなこと」


そんなことを喋っているとあれはも目前まで近づいている。

結構近いから分かるが、やはりあれは人だ。「気を付け」の姿勢で頭から飛んできているが人だ。


「俺のパソコンのHDDが不慮の事故で全壊していますように…」


クロは完全に諦めモードに入ったようだ。


ああ、俺はここで死ぬのか。

飛んできた人がぶつかる直前、そう思った。

そして気を失った―――







まあ、別に死ぬなんてことはなく、その飛んで来た人がハイフ先生であるわけで。そこから要約して話すと、

「この世界のパラレルワールドが危険でピンチでデンジャーだから救え。入学式までの休みは特訓だ」

ということだ。ちなみにこれ言われたセリフそのままである。俺たちももちろん疑ったが、なんか神っぽいオーラを出されて本能的に感じた。この人は俺たちなんかとは次元が違う、と。

まあ、細かいことはおまけ小話とか過去の回想編とかでやるだろうからここでは割愛させていただく。

ここまでの話をまとめると、

パトフ・ハイフは神様で、異世界を救って欲しいから俺たちに頼んだ(命令したのほうが正しいかもしれない)

ということだ。

きっとここから始まるのだろう。異世界に行ってチート的な力貰って無双したり、異世界産業革命おこしたり。

本当に、楽しみだ―――

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