生存本能

第1話

僕は学校でいじめを受けている。

意味もなく馬鹿にされ、暴力を振るわれ。

そんな日々に疲れ果ててしまった。

先生にも相談したが、知らんぷりを決め込まれてしまった。

学校へのせめてもの抵抗として、僕は屋上からの飛び降り自殺を決意した。

下に人がいない事を確認する。

テスト期間中だから、運動部も早々に切り上げていた。

落下を妨げるものがない事を確認する。

木や、ベランダの手摺をうまく避けられる箇所を見つけた。

意を決して僕は、頭から飛び降りた…！

地面が近づいてきた。

ああ、これが走馬灯か…

人は死の危機を感じると、生き残る方法を必死で探すために、脳が活発になるらしい。

地面がまた近づいてきた。

落ちるのがすごくゆっくりに感じる。

どうやら僕の本能はまだ、生き残る事を諦めていないらしい。

生き残るため必死に脳を活発にさせているらしい。

地面に頭が接触した。

本能ではまだ生きる事を諦めていないようだ。

脳が活発になる…僕はすごくゆっくり落ちている…

皮膚が裂け、続いて衝撃が内部へと波及していく…

もっと活発に…もっとゆっくりと…