しましまピンクの妹と哲学的おにいちゃん

ZAP

第1話

「聞きたまえ、我がしましまピンクの妹よ」

「なにかな、妹の生着替え覗いてオシオキ拘束中のヘンタイお兄ちゃん」

「うむ。我が生命の残滓が貴様の安住の地を汚染しようとしている」

「もよおしてきたと」

「貴様も一国一部屋の主。怒りと憎しみを飲み込んで勇気ある決断を下すべきだ」

「トイレに行かせろと」

「さすがは我が家のプリンセス。その聡明さには諸葛孔明すら及ばぬであろう」

「早く行かせろと」

「待ちたまえ我が太ももプリンセス。とにかく待ちたまえ」

「まちません」

「貴様の足元はプリンセスに相応しい場所、ガラスの靴の台座ではない」

「なぜアソコを踏むのかと」

「そこは底なし沼だ。ひとたび踏み入らば黄金色の悪夢が貴様を襲うぞ」

「刺激でしーしーしちゃうと」

「プリンセス考えなおせ。我らが雷の女王の激怒が世界を引き裂くぞ」

「おかーさんに怒られるぞと。ふふふ」

「その地獄の小娘のごとき笑い。よもや貴様既にサタンに魅入られていたか」

「なんでやめないんだと。えへへ」

「取り戻すのだ愛を。汚れなきベッドと靴下とそして兄への愛を。五秒以内に」

「愛なら、あるよ」

「なに」

 妹は脇に挟んだ兄の足に顔を近づる。

 そしていちばん太い親指の先端に、くちづけをした。

「えへへへ。ほーら早くおねしょ見せてよ。プリンセスぐりぐりー」

「やめろプリンセスよ、プリンセスよ、しましまピンクの姫君よ」

 二人は今日もなかよしだ。

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