オレはトイレットペーパーの芯
もへじ
第1話『オレはトイレットペーパーの芯』
オレはトイレットペーパーの芯だ。今はもう、オレに巻きついていた長い長いトイレットペーパーはない。トイレの個室の床に誰にも見向きもされずに転がっていたオレはある日、一人の冴えないオジサンの小便を浴びた。そしたらあら不思議、オレは叫んでいた。
「きったねぇな、ジジイ!」
オジサンはビックリしたように目を真ん丸に見開いて、心臓発作でも起こして倒れてしまいそうだった。でも、一番驚いたのはオレ自身だ。まさか、言葉を話せるようになるなんて!
なんど思い返しても、やっぱりキッカケはオジサンの小便を浴びたことしか思いつかないけれど、やっぱりそんなキッカケはやだな。オレはそう思う。魔法の水でも浴びたならまだしも、年老いたオジサンのションベンだぜ?まだトイレットペーパーが巻きついていたころ、オレは汚いウンコをこすりつけられるトイレットペーパーたちを内心あざ笑っていたけれど、まさかそのオレがションベンをかけられるなんて。しかもションベンは、染み付いちゃって落ちないんだよ。マジ最悪。
おっと、誰かがトイレに入ってきた。どうやらオレを必要としている、悩める客が来たようだ。せいぜい、人間さんとのお喋りを楽しむとするかな。
オレはトイレットペーパーの芯 もへじ @iineiine
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。オレはトイレットペーパーの芯の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます