キューちゃんとランスロット

刈染野

第1話 キューちゃん

キューちゃんは白かった。

首が長く、羽も持っていた。

体が大きいので、よくぶつけた。

目はエメラルドによく似た輝きの

黄色味のある、明るい緑色だった。

キューちゃんは森のなかで自由に暮らしていた。

今は家族はいなかったけれど、友達はいっぱいいた。

「ノォオオオオオオオ」

寝起きには必ず伸びをするようにしていた。

お父さんがしていたからだ。

時々草をいっぱい噛んで、歯磨きするのも忘れなかった。

身だしなみは大事だとお父さんが言っていたからだ。

キューちゃんは格好いい恐竜を目指していた。

「オ"オォオオオオオオン」

朝は小鳥さんに挨拶を忘れなかったが、小鳥さんはいつも怖がって逃げた。

なぜならキューちゃんは挨拶したあと小鳥さんを食べるからだ。

小鳥さんは、骨張っていて、おいしかった。

ポリポリしてたまらない美味しさだった。

だからキューちゃんは毎日挨拶をするのだ。

美味しい小鳥さんに感謝を込めて。


今日のキューちゃんは緑の小鳥さんを食べ、元気だった。

お水も飲んだし、向かうところ敵なしの気持ちだったので冒険に出掛けようと思った。

いつものキューちゃんは、洞窟でひたすら寝ていたり、ごつごつした木で背中を掻いて過ごしていたが、今日はなんだか違う気分だったのだ。

「キュー」どしーん

「キュー」ばたーん

「キュキュキュキュー」どごぉおおん…

いろんな音がしたし、背中や尻尾がなんだか痛かったけれど、キューちゃんは幸せだった。「キュッキュ」

キューちゃんは一人で歌を歌いながら、冒険を続けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る