2.「カクヨム」は「ニコニコ」の中にある

さっくん:「ニコニコ動画?」……でも、ニコニコ動画は小説投稿サイトじゃなくて、動画投稿サイトだよね? どうして、小説投稿サイトとの比較じゃないの?


読子さん:うん、それを順番にお話するね? たしかに、動画投稿サイトと小説投稿サイトでは、取り扱うメディアもその特徴もぜんぜん違う。けれど、このお話のなかでは「ニコニコ動画」を手掛かりにして「カクヨム」を読み解いてみる、ということをしてみようと思うの。


さっくん:思考の実験、みたいなことなのかな?


読子さん、うなづく。


読子さん:そう考えてもらうと近い、かな。でも、決して適当に選んだわけじゃなくて……ほら「カクヨムブログ」でも紹介されていたように「カクヨム」は早い段階で「ニコニコ動画」との連携をはじめてる。「niconico」のトップページのナビゲーションバーにも「カクヨム」が追加されてるよね?


さっくん:ほんとだ。そういえば「niconico」のドワンゴも、いまは「カクヨム」とおなじ、カドカワのグループなんだっけ。


読子さん:うん、グループになったね。それもひとつの手がかり。……ねえ、さっくん。「niconico」って、もともと文字を中心とするサイト、ほかにも持ってたよね?


さっくん:文字……?(すこし考える)あ、「ブロマガ」があるね。


読子さん:あたり。niconicoのトップページでは「ブロマガ」は「カクヨム」のすぐ隣に配置されているよね。


さっくん:「ブロマガ」は文字を中心にした媒体だけど、小説というよりも、有名人や一般ユーザーのブログ、日記やコラムが中心のサイトだよね?


読子さん:そうだね。この二つのサイトの方向性はまったくの別もの。でも、ここで大事なのは「カドカワ」関連会社たちの運営する「niconico」のサイトのなかに、あらたに「カクヨム」が配置されたこと。そこから辿っていけば「カクヨム」が、一大メディア企業グループである「カドカワ」のなかでどんな位置づけで、どんなことを期待されているか、考えることができると思うの。


さっくん、腕を組んで悩む。


さっくん:ううん……単純な「小説投稿サイト」というだけではない……とか?


読子さん、意味ありげに微笑む。


読子さん:どうかな? 小説はもちろん小説。でも、みんなが考える、いままでの「小説」の書きかたや読みかたとはちょっと、違うものになるんじゃないかと、わたしは思うの。さっくん、ポイントはね、もっと、広く、自由に、見てみることだと思う。


さっくん、黙って読子さんを見つめる。


読子さん:だから「カクヨム」は「ニコニコ動画」と比較して考えてみよう、というテーマをもういちど強調して、忘れないようにして……ここからは、いちど視点を「インターネット」くらいまで拡げて、考えてみる。


さっくん:なんだか、壮大なお話になってきたね……


読子さん:ふふ、ちょっと休憩する?


さっくん:コーヒー、おかわりしようかな……すいませーん。


さっくん、手を挙げて店員のいるほうへ向かって声をかける。

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