幻想覇神記=6天神の再誕者

ファランドール

始章【伝説の6覇神】

……………とある学院の庭園で向かい合う、2人の少年。

「……お前、こんなことしてたんだね?下手すりゃ世界を滅ぼしかねないよ?」

「…違う!何かの間違いだ…」

「でも証拠はあるんだよ?それも揺るがぬ決定的なのがね」

「…くそぉ!もうどうにでもしやがれ…!!」

「じゃ、ご希望通り…………取り合えず、動けなくしちゃうね?」

金と銀の眼をした黒髪の少年が、紫髪の少年を対象に高速の魔法詠唱をする。

そして一瞬の激しい閃光。その直後、壮絶な叫び声が響き渡った。

庭園に佇んだ2つの影のうち1つが地面に崩れ落ち、もう1つの影も後を追うようにして倒れこんだ。


後日、この夜の一件は【世界を裏切ろうとした者に対する裁き】として学院中に知れ渡った。ただし、関係した者の名は公表されず。



剣と魔法の世界【クライド=アリアス】。

この世界には6つの名門魔導学院があり、通称は黒、白、赤、金、銀、蒼の創始者の装具の色。学院は非常に優秀な魔導使いたちを世に送り出している。

そしてこのクライド=アリアスには、1つの神話が語り継がれていた。

その神話に出てくる【覇神】に関わる一切が記された始典オリジンは各学院が1つづつ保有している。なぜかというと、始典の最後にこんな1節があるからだ。

【なお、宿と言われる】と…

そして今現在、に6つの学院それぞれに異常な魔力を身に孕んだ者がいる。黒の学院の竜神レイヤ、赤の学院の月凪カオル、白の学院の拍崎レイ、金の学院の星波アカリ、銀の学院の双龍月ハク、蒼の学院の永咲フレアの6人。

この6人、他から見れば異常にずば抜けているのだが、6人の間での実力差はほぼない。というか、ほぼ同じといってもいいくらい。

いにしえの月花の日の事。黒の学院にある最上級生の教室では、竜神レイヤが1人考え事をしていた。

(昨夜見た夢で白銀の少女に告げられたこと…神の力?それって俺の意識が時々飛ぶ時があるのと関係あるんだろうか…)

そう。彼は感情が荒ぶると、それが頂点に達した時にほぼ確実に意識が途切れている。そして気が付くと、いつも周りの人々から賞賛と驚愕が入り混じった視線が突き刺さってきているのだ。しかも、相手を半殺し状態にしているという凄まじいおまけ付きで。

(一回、始典オリジンを見に行った方がいい気がするな。行ってみようか)

【覇神】伝説が記された始典は、ほかの書よりも貴重なため、学院図書館の中でも特別な保管部屋に入れられている。普通の生徒は入ることすらできないが、最上級生となると時間制限付きで入室が許可される。

既に放課後だったので、黒の学院図書館へと向かってみることに。


純黒な夜空(素材がキメラダイトだから)の様な色をした保管部屋の大扉を開けると、中央のガラスケースの上にオリジンが、開けられた状態で置かれていた。


レイヤはその古代神霊者文字オールドディア・テキストで書かれた内容を慎重に、読んでいく。






次回→1章【運命の歯車】1節【古代書の真実】        END


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