君に殺される。そんな日々

すず

第1話

−あの夏の日、僕は「君」に殺された。


例年よりも遥かに暑い今日を迎えた。一歩踏み出すたび、汗が滴り落ちる。日はジリジリと僕を焦がし、アスファルトの熱が足によく伝わってくる。こんな忌まわしい夏には早く立ち去ってほしいものだ。


「あぢぃぃ」

自宅から僕の通う桜塚第一高校までの通学路には緑並公園がある。緑並公園には時折、小学生が水浴びしてるのが目に入る。小さい頃は無邪気で、心底羨ましく思う。僕の童心はどこへ飛んで行ってしまったのか…。

背後から、駆けてくる人影があった。

「のんきに歩いてても構わないけど、このままじゃ遅刻するわよ?」

すれ違い様に「君」は僕にそう言って、一瞬にして追い抜いて行った。しばらく唖然としていた僕は、授業開始の鐘が響いたのに焦り、不恰好に走り出した。

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