耳鳴り
ジッ!ジジジジジジ......ジィーーーーーーーーーーーー
何時間経っただろうか.....僕はいつの間には眠ってしまったようだった。
突然の耳鳴りに飛び起きる。
「痛てえまただ!もう~勘弁してくれよなあ」
この前廃屋であの緑の大男に会ってから、時々耳鳴りがするようなった。
今日は耳鳴り酷いな やっぱり、ここが静過ぎるからかな?
そんな事を思いながら何度か寝返りを打っていると、母さんが部屋に入ってきた
「優ちゃん、大丈夫?さっき夕食で声掛けたけど返事なかったから寝ちゃったかと思ってたんだけど具合悪いの?」
「ごめん、心配かけて。具合は悪くないけどちょっと耳鳴りが酷いから、コンビニに飲み物でも買うついでに気分転換に散歩でもしてくる」
「もう夜も遅いから気を付けるんだよ?わかった?」
「はいはい」
家を出て、いつもの通学路通りを200メートルほどいくとよくあるメジャーなコンビニがある
その思いで来てみると、コンビニはシャッターが降りており一枚の張り紙が張ってあった。
長年の御愛顧ありがとうございました。
当店は本日をもちまして閉店いたしました。
「あああ~やられたあ閉店しちゃったのかあ」
そう思い周囲を見渡すと、閉店した店舗のすぐ後ろに別のコンビニがあるのに気がついた。
「えっ?ここにもう1軒別のコンビニなんてあったかな?」
コンビニは、よくあるメジャーなやつではなく田舎の都市にあるような、地味な良く分からない個人商店がやっているようなコンビニだった。
なんとなく納得がいかない感覚が残りつつも、コンビニに入り、普段いつも買っているオレンジジュースを手に取りレジまで持っていくと、30才くらいの少し太り気味で銀縁の眼鏡を掛けた冴えない店員がそこにはいた。
僕がオレンジジュースをレジの台の上に置くと、男は無造作に商品を手に取りバーコードリーダーにかざしながら言った。
「それだけ酷い耳鳴りなら寝れなくて当然ですね、お大事に」
「えっ?なんで......」
「126円になります」
一種不思議な感覚に囚われながら、店を出た後、僕は自宅に戻ろうとするが、
ジィーーーーーーー
耳鳴りがけたたましく鳴り響き歩けなくなってしまった。
痛い!まじい、もうだめだ!!
耳鳴りが、酷くなっていく、もう!ダメだああああああ!!!頭が痛い!!割れる!
僕は目を閉じてその場にうずくまる。
ピイイイイイイイーーー
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melting poit modified
CH3
|
O-CH-C-??....decoding failed
いきなり頭に変な英語の文字や化学式が浮かぶ
なんだ、この文字列は??
あれっいきなり耳鳴りが止んだ!
目を開けると僕は目の前に広がっている、光景に息をのんだ。
「ここは......何処だろう......」
僕の目の前にあるのは何処かの外国の街、だけど人の気配はなく見渡す限り瓦礫の山、ほとんどのビルは半分位崩れかかっている、近くで銃声が聞える。
「ここは、どこかの戦場......どうして、こんなところにいるんだろう」
「おい!」
次の瞬間後ろから、肩をつかまれた
「軍曹ぼやっとしてる暇は無いぞ!直ぐに撤退だ!」
「えっ?」
「良いから早く乗れ、お前はここら辺の土地勘があるな、運転しろ!」
僕は言われるままに、目の前に止まっている装甲車の運転席に乗り込まされてしまった。
「あの......すいません......僕資料ではウニモグって見た事はありますけど、運転なんかしたことはないので無理ですよ」
「はあ?軍曹!くだらない状態は安全な場所まで帰還した時に聞いてやる、今すぐそのくだらない冗談は止めて出発しろ!」
「はっハイ!」
怖ええええええ!この人の事聞かないと殺されるな......しょうがないこうなったら一か八かだ!
僕は相手の気迫に押され、運転した事のない軍用車両をどういう訳か、全く感でエンジンを掛け発車させることができた。
ディーゼルの荒々しいエンジン音が鳴り響く、僕は一瞬背中がビクっとなってしまった。そんな僕の心の機微を読んだかは分らないけど、横に座っている階級章の星が多い軍人は、僕に大声で怒鳴るように言った。
「敵が背後まで迫ってきている直ぐに発車しろ!」
「はっはい!分りました」
僕は軍用車両を急発進させ、瓦礫の街を後にした。しばらく瓦礫が続く街中をすり抜けるように装甲車を走らせていると、道の真ん中にフード付きのコートのようなものを着た少年が立っていた。
僕は一瞬背中が寒くなり、クラクションを何度も鳴らしたが、少年は微動だにしなかった。
「目の前に子供がいます、停車します」
「駄目だ止まってはならない」
「どうしてですか!このままだと、あの少年を轢いてしまいます!」
「あれは、テロリスト。スーサイドボマー恐らく自爆するつもりだ。この距離ではもう間に合わない!起爆される前に轢いてしまうんだ」
そうなのか、あの少年の瞳、あんな大人そうなのに......
近づいてくる少年はたじろぎ一つせず、道の真ん中で佇んでいた。表情は冷静そのもの恐れはまるで感じられなかった。
でもあの瞳、どこかで見た事があるような気がする......
その時少年の顔の一部に僕は違和感を感じ始めた、すぐにそれが何なのか理解できた。
目が!瞳が......緑色に変わっていく。
僕は助手席に座っている、上官と思われる人に震えながら声を掛けた。
「あの、あの男の子、瞳の色が緑に変わってませんか?」
「ああ、そうだな......どういう気分だ?自分自身を引き殺す感覚って言うのは?」
「えっ?」
不意を突かれたその瞬間、強い衝撃が全身に走った。
僕は運転操作を誤り軍用車両は道を大きく逸れ建物に衝突し、僕はフロント硝子に頭を強く打ち付けてしまった。
猛烈な痛みの中意識が薄らいでいく、車両の前面がぐしゃぐしゃになり割れたフロントガラスに頭を打ち付けていた僕は頭から生暖かい血が流れているのを感じていた。
もうお仕舞だ、こんな何がなんだか分らない状態で僕は死ぬのか......
その時、割れたガラスの間から誰かの手が入り込み、僕は髪の毛を鷲掴みにされた。
あの道に立っていた子供だった。フード付きの上着を脱ぎ捨てると、少年だと思っていたのはややくせ毛のブロンドの長い少女だった。
少女はやや呆れ顔な感じで僕に冷たく言葉を放った。
「何やってるの?へたくそ!早く見つけなさいよ」
僕は痛みと意識が薄らいでいるので何も言葉を発せない。
そのうちまた意識が遠くなり、目の前が真っ暗になって
しまった。
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