No.443.めす猫の爪跡

ろうそくの火が ほのかに ゆらめく 真夜中の愛撫

冷たい柱 抱いている そんな 冷めた口づけ

そっと背中を 十字をきるように 何度も 指をはわせる


髑髏色の 微笑み 鉛色の眼差し

いかずちが ほとばしる 舌づかい

秘密めいた物腰に ひそむ情愛


ただれゆく現実 くずれさった過去 みだれきった未来

電子音の 奇妙な叫び 走り去る影

喉に注がれた 濃厚な蜜

豊満な胸元に 静かに手をのせて


怪奇な幻想の住人を思わせる 交差している

猫めいたきまぐれな行動 予想できない反応

たばこをくわえて ゆっくりと息を吐き出す


ふれている体 濡れて滴っている

抱き合っている ぬくもりが漂う部屋

月が輝く下 惑わす 香水の香り

窓に映る 君の素顔 みとれてしまう

とけきって くすぶりはじめている炎

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