158日目:王都への船出。
神聖歴六一〇二年・
今日はいよいよ王都へ向けて出発です!
ミアさんのことも一応解決したので、スッキリした気持ちで旅立てます。
……本当は色々モヤモヤしてるんですけどね……仕方がありません。
よし、気持ちを切り替えて明るく元気に街を出ましょう!
港に着いたらまずミアさんの姿を探します。
一緒に旅はできませんけど、王都までは彼女の船に乗せてもらいます。
う~ん、どこでしょう……あ、見つけました!
港の隅で船に荷物を積み込んでいます。
駆け寄るとすぐに私たちの姿に気が付くミアさん。
そして、おはようにゃ~。できれば載せるのを手伝って欲しいにゃ~、と申し訳なさそうに頼んできます。
その視線の先には両手で抱えるほど大きな木箱が山積みになっていました。
……これは骨が折れそうですね。
ようやく荷物を積み終わった時には、すっかりお昼になっていました。
もうくたくたにゃ~、と船の甲板に大の字で寝転がるミアさん。
一体なんなですか? あの大量の積み荷は……。
訊くと、猫又商会の依頼品にゃ~、という答えが返ってきます。
王都へ向かうということで、急ぎの荷物を大量に任されたみたいです。
それから少し休憩した後、船はゆっくりと港を出航しました。
段々と離れていくマーガの街。
街で過ごした約二ヵ月間……少し思い出すだけでも色々ありましたねぇ。
大変な目にも沢山遭いましたけど、本当に良い街でした。
……またいつか訪れたいですね。
夜になるとミアさんが食事の準備を始めました。
……って、なんですかこの大量の食材は!?
魚介類だけじゃなくお肉やお酒まで山のようにあります!
驚いていると、皆に御馳走したくて頑張ったのにゃ! と胸を張るミアさん。
そうして完成した夕食はお店に負けないほど素晴らしいものでした。
シチューに魚のパイ包み、ステーキに彩り豊かなサラダなど等……。
とてもこの小さな船のキッチンで調理したとは思えませんね……凄いです。
食事のあと甲板に出て夜風に当たっていると、ミアさんが隣にやってきました。
その表情はどこか不安そうで今にも泣いてしまいそうです。
でも、それに気が付かない振りをして私は無言で海を眺め続けます。
暫くすると、夜は冷えるから暖かくして寝るといいにゃ、と言って操舵室へ歩いていくミアさん。
……意地悪ですね、私。ミアさんがなにか話したそうにしていたのは分かってたのに……。
はぁ~……月が丸くて綺麗ですねぇ……。
それなのに、私の心はどこか欠けているみたいです……。
そんなことを考えながら夜空を見上げていると、いつの間にか横に来ていたノアさんに頭をコツンと小突かれました。
痛いです……思わず睨み返すと、素直になりなよ、と言って呆れた様子で船室へ帰っていきます。
……分かってますよ……そんなこと。
あぁ、本当に今日は月が綺麗ですねぇ……優しい光なのに眩しくて涙が出てきます。
……王都までもう少し。ミアさんと過ごす時間もあと僅かです。
今日の収支
(特になし)
――――――――
残金:銀貨98枚、銅貨21枚
猫銀銭190枚
借金残高:金貨18枚、銀貨26枚
(_ _;)…う~う~モヤモヤします。
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