159日目:お茶を一緒に……。


 神聖歴六一〇二年・夜長猿よながざるの月第一九日・天気:曇/雨


 マーガの街を出港して二日目。船は順調に航海を続けています。

 このままの進めば明日のお昼には王都タルデに到着する予定です。

 やっぱり船を利用すると早いですね。

 陸路だと馬車を使っても一ヶ月以上かかるのに……。

 あぁ~あ、でも暇ですねぇ。船旅って割と退屈します……寝ますか。


 しかし、お昼になるとそんな状況が一変します。

 急に雨が降り始め、風が出てきたんです。

 嵐というほどではありませんけど、それでも船は十分揺れます。

 次第に強くなる雨と荒波の中、私とノアさんは帆をたたむのに大忙しです。

 はぁ……船旅も意外と楽じゃありません……。

 

 そうして三本あるマストの内、二本の帆をたたみ暫く様子を見ることに。

 これ以上風が強くならなければ大丈夫だそうですけど……。

 作業後、びしょ濡れで船室へ戻るとニコさんが乾いた布を渡してくれます。

 あと暖かいお茶と甘いお菓子も用意されていました。

 疲労回復にバッチリです! ってニコさん……妙なお薬混ぜてませんよね?

 不安に思いつつ一口飲んでみると……あれ? 意外と美味しいです。

 ニコさん、お茶を淹れるがこんなに上手かったなんて……少しショックです。

 彼女も料理関係は全滅組だと信じていたのに……。


 その後、濡れた服を着替えてから再びお茶を御馳走になります。

 うん、やっぱり美味しい……香りもいいですね。

 茶葉の量やお湯の温度、蒸らし時間などがしっかり守られている証拠です。

 あ、操舵室にいるミアさんにも持って行きましょう。きっと喜びます。


 というわけでお茶とお菓子を持って一人で操舵室へ。

 ……なぜかノアさんとニコさんは一緒に来てくれませんでした。

 室内に入ると、机に広げた海図と睨めっこしているミアさんの姿が。

 ……真剣な表情です……これは悪い状況なんでしょうか?


 声をかけると、今こちらに気が付いた様子で慌てるミアさん。

 それだけ集中してたんですね……でも少し休憩しませんか?

 お茶とお菓子を見せると、ぐぅ~っとミアさんのお腹が鳴ります。

 ふふっ、休憩しましょう、休憩。


 椅子に座りミアさんと一緒にお茶を飲みますが、会話が弾みません。

 というか無言です……うぅ……気まずいです。

 なにか、なにか話題はありませんか……あ、航海は順調ですか?

 すると、この風のおかげで予定より早く到着しそうにゃー、とミアさん。

 そ、そうですか。それは良かったです……会話終了。

 ……同時にお茶とお菓子もなくなってしまいます。


 そしてそのまま退室へ……はぅぅ……なにをやっていますか私は……。

 折角、折角ミアさんとゆっくり話すチャンスだったのに……。

 うぅ……このまま帰ったら絶対ノアさんに呆れられます。

 

 で、でもアレですよ。ミアさん忙しそうだったし仕方ないのです!

 ……明日、明日ちゃんと話します。

 ちゃんと話してスッキリとお別れするんです。

 

 ……い、今から色々気持ちの整理をしておきましょう。そうしましょう。


 

 今日の収支

 (特になし)

 ――――――――

 残金:銀貨98枚、銅貨21枚

     猫銀銭190枚

 借金残高:金貨18枚、銀貨26枚


 (ノ_-;)ハア…上手く話せますかね……不安です。

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