156日目:答えは見つからないけれど。
神聖歴六一〇二年・
気が付くと私はいつの間にかベッドの上で寝ていました。
……えっと、ここはどこですか? あと頭が割れそうに痛いです。
頭痛で顔を顰めていると、おはよう。よく眠れた? というノアさんの声が。
返事をしようとすると、飲み過ぎだよ? と頭を小突かれます。
痛い! 痛いです! ごめんなさい。反省してますから!
だから、お願いなので何回もコツコツしないでください!
ベッドから起き上がり、ノアさんから貰った水を飲みつつここがどこか尋ねます。
それに呆れたような溜め息を吐くと、ノアさんは昨日のことを教えてくれました。
話を聞くと、酒場で酔い潰れた私とミアさんを近くの宿へ運んでくれたようです。
帰りが遅いから心配したのに、なにをしているの? と困った様子のノアさん。
うぅ……ごめんなさい……ちゃんと理由は話しますから……。
ノアさんの妙に優しい眼差しに怯えつつ、昨日ミアさんと話したことを伝えます。
……ノアさんって怒った時ほど表情が穏やかになるんですよ……恐いです。
話し終えると、ミアさんの問題にノアさんも頭を抱えて悩み込んでしまいます。
ね? ね? 難しい問題でしょう? だからちょっと飲み過ぎてしまったのです!
そう言うと再び頭をコツコツ小突かれます……冗談なのに酷いです。
ノアさんと部屋で話し合っているとニコさんが訪ねてきました。
挨拶をすると、二日酔いにはコレです、と黄色い液体の入った小瓶を渡されます。
あ、あとで飲みますね。ありがとうございます。
……そうだ、ニコさんにもミアさんについて意見を訊いてみましょう。
先程と同じ説明をニコさんにすると、しかし彼女も黙り込んでしまいます。
やっぱりミアさん自身が答えを出すしかありませんよね……。
……よし! この問題はこれで終わりです!
周りがあれこれ悩んでも仕方ありません。私たちは自分のことをやりましょう!
王都行きの準備も終わってませんしね!
宿で寝込んでいるミアさんの看病をニコさんに任せ、私とノアさんは商店街へ。
二人で買い残した品を探して歩いていると、この前訪れたお店の前に着ました。
ケット・シーが店主をしている猫又商会の加盟店です。
……そういえばミアさん、ここで熱心に見ていた商品がありましたっけ。
店主に挨拶をして中に入ると、この前と同じ場所にそれはありました。
透き通るような赤い柄に細かな金細工を施した綺麗なブラシです。
説明書きに目を通すと尻尾用と表示されていました。
なるほど。道理で髪を梳かすには大き過ぎると思ったんです。
……いいことを思い付きました! これを買っていきましょう!
購入時、店主さんはなにも聞かずに贈り物用として包んでくれました。
素晴らしいサービスです。流石、猫又商会加盟店!
さて、これをどんな形で渡せるか分かりませんけど、喜んでくれると嬉しいですね……。
今日の収支
銀貨:-3枚(宿泊費×4+ソシオ)(寝床〇、食事☆)
-10枚(食用、日用品など)
-30枚(櫛代)
――――――――
残金:金貨1枚、銅貨21枚
猫銀銭190枚
借金残高:金貨18枚、銀貨26枚
(*゚‐゚) 今は答えを待つだけです。
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