28日目:予備装備

 神聖歴六一〇二年・皋竜こうりゅうの月第一一日・天気:曇のち晴


 雨が止んで良かったです。これならマルガさん達も大丈夫でしょう多分。

 一刻も早く帰って来てください、私が街から去る為に!!


 今日はお買い物です……はぁ、ルーファに帰れるなら必要ない出費です。

 けど、今後も必要ですし……と自分を慰めつつ冒険者ギルドを後にします。


 目的地は武具店。前回の買い物時に良さそうな店を見つけたので、迷わずそこへ。

 店内に入ると明るい女の子が店番をしていました。ここの娘さんでしょうか?

 胸鎧と剣が欲しいのですけど……うわぁ、予想はしていましたけど高いですね。

 鎧は一番安い革製でもちょっと躊躇する値段です。剣は……まぁ、そんなものでしょう。


 ですが、とりあえず剣は手持ちを修理できないか相談します。お爺ちゃん以外に預けるのは少し気が引けますけど仕方ありません。いつも頼ることは出来ませんしね。

 娘さんに尋ねると奥から筋骨隆々のおじさんが出てきました。あ、頭が眩しいです坊主です!!

 その姿に若干気圧されながら事情を説明します。


 おじさんは受け取った剣を難しい顔でじっくりと眺め、暫くして申し訳なさそうに首を横に振りました。

 え? もしかして直らない!?

 詳しく話を聞くと、この剣に使われているバルト合金を扱うには特殊な技術が必要らしく、自分では手が出せないとの事でした。そして、おそらくこの街にある他の店でも同じだろうと……。

 なので、作った店か王都やもっと都会の店へ持っていくことを勧められました。

 お、お爺ちゃん……なんて厄介な剣を……頑張り過ぎです。


 でも、そうなると余計に予備装備の重要性が増しますね……ここは確りした物を買いましょう。

 おじさんに良さそうな物を数点見繕ってもらいます。

 鋼に黒鋼、劣化ミスリル合金など今の装備が基準だと、予備に使用するのはこの辺りの素材になるそうです。

 金額は……うっ……全然足らない。ですよねぇ、革製で鎧はアレでしたし……。

 う~ん、手持ちの兵隊蟻の素材で製作依頼した場合の値段も見積もってもらいましょう。聞くのはタダです。


 すると意外に安いです!! これならいけるかも? しかも今なら既製品があるのですぐ使えるそうです。

 いいですね! 胸鎧と短剣二本でその価格ならお買い得かもしれません。

 その場で試着等をさせてもらいます。

 鎧はまぁ……うん、オーダーメイドではないので着心地は及第点。

 雌雄一対の短剣、いわゆる双剣は微妙に軽すぎます……今までとは少し勝手が違いそうです。

 ですが、全体的に見れば十分許容範囲です。うん、買っちゃいましょう!!


 満足のいく買い物が出来ました。

 すっかり軽くなった革袋が気になりますけど……考えたら負けです。


 さて、本当は仕事を受けて少しでも稼ぎたいのですが……。

 今日は止めておきましょう。治ったばかりですしね。

 無理は禁物なのです。明日から、明日から頑張ります。



今日の収支

銅貨:-13枚(宿泊費)(寝床〇、食事〇)

   -50枚(装備代)

銀貨:-8枚(装備代)

――――――――

残金:銀貨1枚、銅貨1枚


…(゚_゚i)タラー… お、お金が一気に……大丈夫、これは投資、明日への投資です!

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