4日目:討伐報酬
神聖歴六一〇二年・月兎の月第一七日・天気:雨
今日は雨が降っています。風も強く、ちょっとした嵐という感じです。
お仕事行きたくないですね……けれど頑張らねばなりません……だって、お金がないのですから。
冒険者ギルドへ行くと、大勢の人でごった返していました。
この雨なのでクエストへ向かわず、併設されている酒場で油を売っているようです……昼間から酒とか……働け冒険者共。
そんな彼らを尻目に、私は今日の任務を受注します。
受付のお姉さんが驚いていますが、気にしないでください、働かないとお金がないのです……最底辺冒険者に雨だから休むという甘えは許されないのです!!
今回も相変わらずの薬草採取クエです。お姉さんに、くれぐれも無茶はしないように!! と念を押されましたが、いつものクエストです。もう三回目ですよ……心配性ですね。
しかし、お姉さんの言葉の意味を現地に行ってから理解しました。
いつもの流れの緩やかだった川は雨で増水し、激流というか濁流になっていました。落ちたら、人生終了です……。
なので場所を変え、川から少し離れた湿地帯へ向かいました。けれどそこでも事件が起こります。
モミジャ草の群生地はすぐに発見出来たのです。しかし、予想外の邪魔者が現場に居座っていました。
牛ほどの大きさで、ぬらぬらと光る肌色の体には茶色の斑模様、頭から突き出した触角の様な両目……最悪です、キングナメークと遭遇してしまいました。
見た目も気持ち悪いのですが、こいつは一匹でもモミジャ草の群生地を壊滅させてしまうのです!!
仕方がないので、私は若干涙目になりながら、キングナメークへ突撃しました。
(一応、魔物指定されているので討伐報酬は出るのですが、出来れば相手にしたくないのです……)
相手の動きは遅いので、処理は楽なのです。けれど斬り付ける度に剣が妙な体液でドロドロになり、しっかり握っていないと手から抜けそうになります。
どうにかこうにか倒せましたが、戦闘の影響等で群生地のモミジャ草は半分が駄目になっていました。
無事なモミジャ草を集め、倒したキングナメークを引き摺りながらギルドに着いた時には、雨は上がり西の空が茜色に染まっていました。
任務完了報告をすると大変驚かれました。そして、私も驚きました。キングナメークの討伐報酬……え? 高くないですか!?
聞けば、薬の材料として需要はあるものの、雨の日にしか現れないし、現地は増水した危険な川の近くだし、何より気持ち悪いので、進んで討伐する人がいないんだとか……納得です。
その後は、大衆浴場へ行きしっかり体を洗いました。汚れが酷いのもありますが、どうも今朝からあちこち痒いのです。
……やはり昨日の安宿は何処までも駄目ですね……潰れればよいのです。
今日は臨時報酬も入ったので、少し高めの宿屋に宿泊です。
部屋は清潔だし、ベッドはふかふか、料理はまぁ、及第点。
収入が安定したら、拠点に使ってもいいレベルでした。
さて、もう明日に備えて今日は寝ましょう。おやすみなさい。
今日の収支
銅貨:+5枚(任務報酬)
+60枚(キングナメーク討伐及び売却報酬)
-1枚(入浴代)
-14枚(宿泊料)
――――――――
残金:銀貨2枚、銅貨61枚
O(≧▽≦)O ワーイ♪ 初の黒字です!! この調子で稼ぐのです!! そして、目指せEランク昇格!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます