2日目:人生初の野宿

 神聖歴六一〇二年・月兎の月第一五日・天気:晴れ


 ……最悪です。今日は寝坊してしまいました……。

 何時もはしっかり朝に起きるのに、目覚めた時はとうにお昼時です。

 けど、たまにはいいですよね。昨日は大変だったし、と自分を慰めます。


 さて、今日も冒険者ギルドで薬草採取のクエストを受注しました。

 今回は二つです。大丈夫、昨日で要領は掴みました。倍の仕事量になっても何とかいけるはずです。

 ギルドのお姉さんが、心配そうにしていましたけど問題ありません。私はやれば出来る子なのです!!


 と、考えていた時が私にもありました……。

 現在、日はすっかり暮れて森の中は闇に包まれています。なので、先程頑張って焚き火を起こしました。

 出かける際に買っていて良かった緊急用【着火石】……高かったのに、こんなところで使うなんて……最悪です。


 慣れていない夜の森を、今から歩いて街へ帰るのは無謀と判断し、半ば諦めの気持ちと共に本日の日記を書いています。

 ……そう、今日は森で野宿です……昨日は高級宿屋、今日は野宿……どうしてこうなったのでしょう……。

 

 けれど幸い、この森には危険な魔物はいないと、ギルドの優しいお姉さんが言っていたので、多分大丈夫です。

 人生初の野宿ですが、やり抜いてみせます!!

 

 野宿の醍醐味と行ったら、ご飯です。現地で食材を調達し、ささっと料理する。それが一流の冒険者というものです。

 丁度、モミジャ草の群生地は川の近くですので、今日はそこで獲った川魚を料理します。と言っても、獲った魚をそのまま焚き火で直焼きするだけです。


 ……決して料理ができないわけではないのです!! これがザ・冒険者料理なのです!!

 なんて事を書いていると、丁度いい感じに焼けたようです。では、ちょっと筆を置いて――


 ――うん、今度からお塩と各種香草をポシェットに入れておきましょう……。

 とりあえず、一言だけ「生臭いです! 泥臭いです!!」


 ぐすっ。こんなはずじゃなかったのに……物語の冒険者さん達は、火で焼いただけで、それはそれは美味しそうに食べていたのに……なんでこんな……。

 スープが欲しい、パンが欲しい、お肉が欲しい……です。

 明日、街に帰ったら絶対食べるのです。


 ふぅ、とりあえず味はあれでしたけど、お腹が一杯になると何か安心しますね、不思議です。

 今日はこれから、焚き火の番をしながら徹夜です……。

 眠くなったら、モミジャ草を齧るといいと何かの本に書いてあったので、多分大丈夫です。


 街へ無事帰れたらきっと私は冒険者として、少し成長している事でしょう。……してるといいな……しててください。



今日の収支

銅貨-40枚(着火石購入費)

――――――――

残金:銀貨2枚、銅貨15枚



。・゚゚・(>_<;)・゚゚・。 順調にお金だけが減って行きます……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る