第5話 みにくいアヒルの子

 昔々あるところに、大層みにくいアヒルの子がおりました。そのアヒルの子は全身が灰色で、ずんぐりむっくり。他のアヒルの子はその姿を見て笑います。

「あいつは何てみにくいんだ」

 しかしみにくいアヒルの子はその言葉を聞き逃しません。相手のくちばしかじったかと思うと、足で首を捕まえ、頭の上までよじ登り、羽根をむしり散らすなど、傍若無人の限りを尽くします。

 やがてそれにも飽きてしまったみにくいアヒルの子は、真っ赤な尾羽を広げて悠々と飛び去ってしまいましたとさ。

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