異世界転移撲滅委員会よりの指導です。
Jack Amano
第1話 異世界転移撲滅を、下請けす。
「つまり、最近の異世界転移は件数が多すぎる、というお話なんですね」
「はあ、なるほど」
先日、世界管理局は頻発する異世界転移に対し、「異世界転移撲滅委員会」を招集した。
そして本日、委員会よりの使者が当支局を訪問し、私も呼び出されて、支局員と一緒に、こうして通達を受けているという次第だ。
なぜ、そうなるのかというと。
「その殆どが、貴局の管理される、地球人類の異世界転移である、という事が判明いたしまして、当委員会はこれを非常に問題視しております」ということで。
さらに。
「実際の管理業務については、そちらの方へ委託されているそうですね」
というわけである。
「ええと…まだ、お名前をお伺いしておりませんでしたね」
「あ、スケルソン・スパールトイと申します。どうぞ宜しくお願いいたします」
その後、話自体は30分ほどで軽く終わったが、話の内容はそれはそれは重たいもので、1分あたりの比重でブラックホールができるんじゃないかと思うほどであった。
というか私の胃には確実にブラックホールが開くだろう。ジャストなう。
つまりは管理責任を取れということなのだが、普通、こういった場合の責任の取り方は辞任と相場が決まっている。委員会が発足されるほどの大事なのだから、イチ委託管理業者の出る幕なんて無い。今後、この方面の仕事は絶望的になるが、ある意味、きっぱりと方向転換ができるので、全てを過去の教訓にして再出発すれば良いのだ。
しかし、まさか。
「スケルソンさんには、引き続き管理者として、事態収拾のお手伝いをお願いしたいのです。ただ、これまでのような管理のお仕事ではなく、当委員会よりの指導を現地で実際に行っていただきます」
「現地、ですか?」
「はい。具体的には、異世界へ移転してしまった元地球人類の方たちのケアと、移転先の世界に対する影響の排除を、現地で行っていただくことが、主な業務となります」
「え、それは各世界へ降りて…」
「ほら、やはり地球人類の事をよく理解された方が適任でしょう? そんな方、他にいらっしゃらないんですよね」
こんな事になるとは。
「ああ、良かった。引き受けていただけなかったら、どうしようかと思いました」
私はどうされてしまうのか、どうせ最終的には引き受けざるを得ない状況になっていただろう。
断れないじゃないか!!
「では最後に、指導の目的を再確認させていただきます」
「異世界転移の、撲滅です」
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