第1話 大食い悪魔 その1
生きるためには仕事をしなければならない。
ならば・・・仕事を首になった人間は生きる価値さえなくなるのだろうか・・・
キロは3日前にカルデラ城の警備兵の仕事を首になったばかりであった。首になったという表現は少しぬるいかもしれない。カルデラ城からも城下町からも追放されたという表現が正しい。
風景を眺める余裕もなく歩く、ひたすら歩く。
道の途中に壊れかけの教会を見つけた。今日はここで野宿にしよう。天井はボロボロで今にも崩れそうな建物だった。壁に垂れ下がったロープがキロを手招きしているように感じた。もう生きる意味なんてないのかもしれない。
夜半過ぎ目が覚めた。壊れた壁の隙間から月明かりが差し込んでいる。ふと、キロは照らされた教会の檀上に誰かいることに気が付いた。とてもこの世のモノとは思えない銀色の髪の少女がこちらを見てる。
彼女はこちらへ近づいてきた。キロの顔をじっと見つめている。大きな透き通った目、三白眼が恐ろしく、キロは目を背けてしまった。
「どうか私を助けて・・・」
「逃げ出した悪魔は12匹・・彼らは人間のセカイに降り立ち・・秩序を乱す・・」
彼女は一瞬消えたかと思うと
キロの前に現れた。
「彼らを倒して・・・」
キロは少女の言葉の意味がよくわからなかった。悪魔?そんなものはおとぎ話の中だけの存在だろうに・・・
彼女はじっと自分の方を見つめている。
じーー
彼女の澄み切った瞳と幼げで整った顔がなんか怖い。
彼女が指をパチンと鳴らすと3つの物体が何もないところから現れた。
「これは、白い剣、魔力を食らう剣」
「これは、黒い本、悪魔の名前を記した本」
「これは、使い魔、わからないことは聞くといい」
「・・・・お前は、・・・・何なんだ?」
「わたしは・・・・天使」
ドン
突然、教会の壁が壊れて崩れ落ちた。建物とほぼ同じくらいの巨大な黒い化け物の姿が見えた。
グゥオオオオオオオオオ
化け物は怒号のように吼える。
「あわわわわわわわ・・・・」
キロは慌てふためいて身動きひとつ取れないでいた。こんなことありえない。
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