新入り領主と二十一の権娘

桜空みかたまり

プロローグ

今から二百六十年ほど前に、大陸北部の前皇国が解体され、そこに新たに九の地方を統括する王国が誕生した。その王国は自由を特に大事にし、国民と共に歩むことを提言していた。そして、王国誕生と同じ年、王国主催『前証大会ぜんしょうたいかい』がその年のみ行われた。

国内の全員が参加でき、『闘技部門』、『演説部門』、『製造技術部門』、『調理部門』、『策略さくりゃく部門』、『特技部門』、そして『経略けいりゃく部門』の七つの部門ごとに分かれており、『経略部門』以外は男女それぞれ一名ずつが選ばれる。『経略部門』に関しては九人が決められ、各地方の領国統治を任されるという大抜擢だいばってきが待っていた。


多くの国民がこの大会に参加し、その数は五十万人近くに上った。大会は一ヵ月にも及び、何回もの予選が行われた。

その結果、二十一人の男女が選ばれた。そして、王は選ばれた者たちに言った。


「諸君らは、この王国で特に優れている。どうか、国のために尽くしてくれ」


選ばれた者たちは、王の言葉に頷きをもって従うことを決め、それぞれに証となるものが渡された。

ここに『王国代表会』が設立された。また、この会の参加者は二十一人の役職者と国王で構成され、役職者については規約きやくが定められた。


一つに役職者は国のために常に向かい合わなければいけない。

一つに役職者は王を中心として国外との会談に臨まなければいけない。

一つに役職者の地位は世襲せしゅうが望ましいが、各個人で後継者を選定することが出来る。


選ばれた者たちは、地方に分散し、それぞれの活動を始めたのだった。

国は豊かとなった。

そして二百六十年経った今、ある小国の吸収によって新たに領土が広がり、十番目の領国がつくられる事になった。

領主としては、旧小国の家系に任せることとなり、それによって十七歳の少年が着任した。

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