記憶


「いくぞ、まおう!せいぎのヒーローであるこの俺がきさまをたおす!」


そう言ってシスターさん達と幼稚園の頃の歳の俺はよく遊んでいた

正義のヒーローごっこをして。


確かこの時、1人特別仲が良かった子がいたような...。

よく、魔王役をやっていたような


「ふふふはーっはっはっはー!我こそが魔王ぞ!正義のヒーロー?そんなもんじゃ私には勝てないわよ!」


そこには先ほど話していた、幼女魔王・・・・と瓜二つの少女がいた。

こちらの方があどけない感じはするも、髪は白と一致する点はある。

どういうことだ?

アキナさんの魔法で多分今1個目とやらの封印が解けてこの光景を見ているはずだ

これは俺の過去な訳だろ?そこに何故...?

この光景が本当なら過去に一緒に正義のヒーローごっこをしている事になる。


でも、この子はいつも言っていた。


「私は魔王役、つまり敵が良いの。だって頑張ってもヒーローに勝てない運命なんだよ?応援したいじゃん」


で、魔王になる夢を果たしたと


んな分けあるかい、なんてやっている内に光景は変わりに変わって中学校の入学式をやっていた


今思うと所々、記憶が抜け落ちていることに気づく、こういう状態になってよかったのか悪かったのか...



入学式を終え、無事に協会に帰るとそこには幼女魔王?のそっくりの子の死体があり、その周りには神父やシスターが群れていた。



「やはり駄目だったか、次は実験体145号。期待しているぞ。勇者になる...んだ...」


俺に近づいてきて触れそうになる


そこで俺は目を覚ます。


目を覚ますと周りは真っ白な空間だった。


目の前には机と椅子があり、そこには女性が座っていた。


いやこの女は...。あの記憶に出てきた

今回は顔にぼやがかかっていない。

金髪ショートの目はパッチりしていた、ここまで綺麗なら覚えていると思ったんだけど



「......ご名答だよ。まさか強引にこじ開けて来るとは...でも柔なものじゃないからあの娘なかなかやるね」


少し顔を赤らめさせながら言う。結局こいつは誰なんだろうか


「なぁ、お前って誰なんだ?」


「それは、内緒だよ。僕の名前は頑張って思い出してよ。まぁ1個目の封印解除おめでとう。褒美は目だ。」


そう言うと嬉しそうに笑いこちらを見る


「君が鷹の目と思っている目さ。あれはそんなレベルのものじゃない。僕の目だからね。神にバレないように力を制限して偽装していたんだけど、封印を解除するね。」


鷹の目が鷹の目じゃない?

確かに薄々思うことはあった。このスキル、ちと優秀すぎやしないかなって


「魔眼だからね、視ようと思えば何でも視えるよ、魔力の線だろうが女の子の服の中でもね?ただね使い過ぎは良くないその能力の本質・・に惑わされちゃうからね?」


本質?


というか、女の子の服の中なんて見ないよ


「そう?見てもバレないよ?まぁ僕からはそれだけかな」


このトンデモナイ既視感。デジャヴは!

心の中を読まれてる!


「だって、ここ君の心の中みたいなものだよ?考えてることなんて垂れ流しさ。」


うへぇ、プライバシー的な物が最近ない気がする。


「それで、聞きたい事は?今の僕が言えることなら何でも教えたあげる」


ならまずは


「幼女魔王は一体何なんだ?記憶の中に出てきたとはどういう関係なんだ?」


「そうだね、記憶、思い出しちゃいそうだからあまり詳しく言えないけど強いて言うなら外は一緒だけど中は別物。」


中は別物か...。じゃああの娘はもういないって事か。


まだ記憶を全て取り戻した、なんて訳じゃないけど。あれは紛れも無く思い出さなきゃいけない大切な思い出なんだ。


「まぁ心配しなくても大丈夫。絶対に封印は解かれる。だってそう言う風に出来ているからね。それに君の旧敵だってこちらに来ている。接触さえしてくれば必ず封印解ける。」


旧敵...?

それは一体何なんだ


「うーん、なにも耐性なしにあれ・・と会うのは流石に危険かな...でもこれやっちゃうと少しズルだよね。...分かった!こうしよう君が僕に上目遣いで目をウルウルさせながらお願いって言ってくれたらいいよ!」


え、と。何ですと?

それは誰得なんですかね?一体。


「え?僕得だけど?久々に生で会えたでしょ?でも次会えるのいつか分からないし海兎きゅん分を補充しないと。」


ねぇ?と首を傾げる。何がねぇ?なんですかねぇ?!


俺としては恥ずかしくてやりたくない。

高2になってそんな事をしなければいけないなんて地獄だ。


「ん?まぁ別に良いんだよ?僕はね?でも早く記憶を取り戻してくれればそれだけ君に力を貸してあげられるんだ。一石二鳥じゃないかい?記憶を取り戻すのも少しは楽になるし、封印が全て解かれれば君にもっと力を貸せる。どうだい?」


俺は、女の前で膝立ちになり羞恥で顔を真っ赤にしながら


「お、お願いします。」


「ぐっ...!」


と言いながら後ろに椅子ごと倒れていく


「あ!おい、大丈夫か?」


俺は急いで立ち上がり女に手を伸ばす

女は鼻血だらだらでニヤニヤしててなんというか凄く気持ち悪かった

伸ばした手をサッと引くぐらいに


「気持ち悪いなんてひどいじゃないか、美少女のこんな姿が見れて役得じゃないか。」


美少女って自分で言うんですね...

だって、凄く気持ち悪いんだもん。


「いやいや!だってねぇ?前にやってもらった時は思春期がまだ入りかけの時だったから首を傾げながら不思議そうにやっていたけど高校生、思春期真っ只中の時にやってもらうと恥ずかしさで破壊力が2倍!」


え、前にやってもらった時?


え、俺前もやったの?なんてことしてるんだ、俺は.....。



「別に減るものじゃないんだし、いいじゃん?さて僕のエネルギーは補充できたし、少しだけだよ?相手の顔見せるぐらいしかできないんだけどね」


そう言って女は俺に手かざした。


その瞬間、頭痛が走る。


ビジョンというのだろうか一人の女の姿が頭に入ってきた、格好は着ているか着ていないか判定が微妙な服を着ている

胸はでかく、10人中10人が綺麗と言う容姿だったがどこか関わってはいけないような危ない雰囲気を纏っていた


「これが俺の旧敵なのか?」


やはりというか、俺はまったくもってその女に見覚えはなく、ただ綺麗だなぁぐらいにしか思わなかったのだが


「そうだよ、言っておくとそれとは絶対に戦わなくちゃいけないというかそんな状況になる。後は」


俺はふと睡魔に襲われた。

でもここは俺の心の中なはず


「現実世界で君は目覚めようとしているんだ、現実においての覚醒が近いんだよ。それで助言だけど君の得意分野は弓だけではないよ___」


それってどういう...こ_____




意識が落ちる....もう落ちているんだけど。


最後に見えたのはまたねと満面の笑みで笑う女だった



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