幼女
「身分証明書...ですか?」
俺達は街についた。確かに着いたけどもしかしたら入れないかもしれない。
「ええ、身分証明書を提示して頂けないといけない規則でして、最近は盗賊が増えているので」
門番の人がそういう。
「私達、旅をしてまして。身分証明書というものを持っていないです。」
先生がぱっと言ってくれた、さすが先生、先生なだけある。
「ああ、それでしたらここで犯罪の有無の確認をして頂いて、冒険者ギルドに行って作っていただくことになります。」
よかった、入れるのか。また野宿なんて本当に勘弁して欲しい。
あぁでも魚美味しかったなぁ
調味料があればもっと引き立つと思うんだけど。
「では、こちらの水晶に手をお載せください。」
お城で見た水晶よりちっちゃくて白い。
先生が手を載せる、が何も変わらなかった。
「はい、結構です」
じゃあ、俺の番か。
俺の何も変わらなかった。
「この水晶ってなんなんですか?」
「この水晶は犯罪の有無を確かめるものなんですが、犯罪を起こしたことがあるものは黒くなり、起こして無いものは白く輝き続けるのです。」
へぇ、すごいな異世界。
それがあれば犯人なんてすぐ捕まえられるじゃないか
「でも、犯罪の基準って誰が決めるんですか?」
水晶じゃ、どんなに頑張っても気持ちまでは見れないと思うし
正当防衛だった場合とかどうするんだろうか
「この水晶を通し『審判の神』ジャッジ様がその者を見て判断して下さるのです。」
審判の神ジャッジ...か。
なんか疲れてそう。日々の雑務とかでね。
お疲れ様です
「それにしても、冒険者ギルドへの登録は銀貨が2枚必要です。確か登録料は後払いできたはずです。」
この門番さん出来る!!
聞いてないことでも、目的を把握している!
それにても銀貨2枚は日本円にするといくらぐらいなのかが分からない。
まぁそれはおいおいと。
「「ありがとうございました。」」
と二人でペコリとお辞儀をした。
入れるらしい、今日1日は仮券を発行して貰える。
今度からは冒険者カードをお持ちくださいとの事です
「いえいえ、これぐらい門番としての務めですから。」
と、門番さんと別れ関所っぽい所をでる。
「...すげぇ」
外に出て思わず感嘆する
人が主を占めるが、猫耳、うさ耳など獣人と呼ばれる存在を目にした。
色々な種族が皆でひしめき合い暮らしているんだと思うとすごいなと思う。
地球では人種差別があったが、この世界でもあるのだろうか。
ないといいな。
だって、皆楽しそうだし。
猫耳とか触って見たいな〜。
「うわぁ...すごいですね...。」
先生もやはりこの光景がいいのだろう。
人種なんて関係なく皆が手を取り合って生きているのが伝わってくる
「ご飯が美味しそうですね...!」
「そ、そこですか...」
「え?私変なこと言いました?」
自覚症状がないのが一番怖いらしいですよ。
とりあえず門番の人が真っ直ぐ行けば冒険者ギルドに着くって言っていた
先生とはぐれないように手を繋いで歩く。
「それにしても、人が多いですね。...そっちの方が都合がいいんですけどね...(ボソッ)」
先生がそう言った、確かに小柄かな先生は人混み苦手かもしれないな
はぐれたら小さくて分からないし。
「そうですね、あっ!あれじゃないですか?あの赤い屋根の」
俺はそう言って指を指す。
そうすると先生が
「私達長い旅をした気分ですけど、まだ1日しか経っていないんですよね。なんだか感慨深いです。」
感慨深いかぁ、でも腹パンされたのは昨日の気がする
ん?
あれ俺、腹パンで思い出した?
やばいな。
取り巻き2号。多分もう、会わないけど言っておこう
いいパンチだったぜ!★
「つきましたね。先生、取り敢えずお疲れ様でした。」
「ええ、お疲れ様です。異世界に転移したり、蜘蛛に追われたり。でもこの世界では良くあることになってしまうのかも知れませんね、ここからまた新しい世界の扉を開けることになります。頑張って行きましょうね。」
ここまで、普通じゃ体験出来ない事が沢山あったけどこれからこれが普通になるって考えると少し変な感じもするけど、でもこれからがスタートだと思う。
「はい!まだまだ先生にご迷惑をかけるとは思いますがこれからもよろしくお願いします。」
「...ずっと迷惑かけてくれてもいいんですよ...」(ボソッ)
「何かいいました?すみませんよく聞き取れなくて」
先生が何かを言った気がするけど声が小さくて聞き取れなかった
「いえ、ただこれから楽しくしていこうと、思いました。では開けますよ。」
これから、楽しくか。
ここを開けるとどんなことが...。
先生がドアを開けるとそこには女性しかいなかった。
えっと来る場所を、間違えたのかな...
そうだよな、うん、だって冒険者ギルドだもん
女性しかいないわけないもんな
「冒険者ギルドへようこそ!本日のご要件をお伺いしても宜しいでしょうか?」
店員さん、なのか分からないけど
その女性は確かに冒険者ギルドへようこそって言った。
ってほんとにここが冒険者ギルドなの...?
「冒険者の登録がしたくて、来ました。」
先生がそう答えた。
俺が想像していた冒険者ギルドはごついヤツらが沢山いて、みたいなイメージがあった。
だが現実ここに来てみれば女性しかいなかった
百聞は一見にしかず的な状況だ。
「ギルドへの加入ですね、こちらへどうぞ。」
先程の店員さんと変わって、THE受付嬢みたいな人に変わって
「これからあなたがたのたんとうになりましゅ...なります。マリ・バートともうしましゅ!あうっ」
どっからどう見ても7歳ぐらいの幼女だった...。
え、これが異世界クオリティなんですかね?
しかも、カウンターに身長が届いていないのか台の上に乗っていた。
「え、えーと?マリちゃん?がやってくれるの?本当に?実はお姉ちゃんがとかじゃないの?」
だって、こんなちっちゃい子が働いてるなんて。
「しつれいですね!わたしはオトナのれでぃでしゅ」
「今、何歳?」
俺は不安になりながら聞いた
だって異世界だ、可能性としては無いとも言えなくもない。
「ことしで22ですね!あ、噛めずにいえましゅた!」
「「22?!」」
ビックリする、とかそんなレベルじゃない。
俺より年上?まじで?
「私の1個下ですか!?え、この外見で!?」
空いた口が塞がらないとはまさにこのことだろう。
ていうか先生、23歳なんだ...。
「このがいけんとはもう少しいいかたを考えてですね、もぅいいです!で、ごようけんはなんですか!」
「冒険者ギルドへ加入したいんですけど...」
「加入ですね!じゃあまずこの水晶に手を置いてくだしゃい」
と言って、城で見たヤツより1回り小さい水晶をだした。
言われた通りに手を置く、そうするとマリさん(本人が言うには年上なので)が持っていたカードに光が文字を書いていく。
★
九条 海兎
男 17歳
職業 『弓士』
スキル『鷹の目Lv2』『共通言語理解』
★
あれでもこれって勇者ってバレるんじゃないかと思っていたのだがそんな心配要らなかった
称号の欄がなかった。
「称号の欄ってないんですか?」
と聞いてみた。
「称号の欄なんてでるのはそれこそおしろでつかわれていたりする鑑定水晶ぐらいでしゅよ、あぅ。」
噛みながら教えてくれる
次は先生の番。
先生のステータスがカードに書かれていく、そしてそれを見たマリさんはうわずった声で
「ふぇ?こんなことってありゅんでしゅか!魔法を
焦ったのかはわからないけど凄いカミカミでそう言った。
そして、先生と先生のステータスを見る
★
下野 美咲
女 23歳
職業『聖女』
スキル『黒魔法LvMax』『白魔法LvMax』『状態異常無効』『共通言語理解』
★
せ、聖女!?
それって職業なの!?
でもマリさんが驚いていたのは魔法を2つ持っていること。
正直、聖女の方が驚きだった。
やっぱり俺の方が足でまとい...。
それと先生があの時眠っていなかった理由は多分『状態異常無効』があるからなのだと思う。
『状態異常無効』って滅茶苦茶強いじゃん...。
「魔法が2つって言うのはいけない事なのでしょうか?」
先生が聞くと
「まず魔法がなんなのかを理解していましゅか?」
「いえ、まったく。」
「魔法をしらないなんて、なかなかすごいですね。それは置いといてですね、まず魔法とは『赤』『青』『黄』『黒』『白』の5色5通りの種類があります。魔法は1人1つしか使えないはずなのですが、美咲さんは2つ習得している、それはまるで
初めてマリさんの受付嬢としてちゃんとしている姿を見た気がする。
「しかもLvMaxだなんて!しゅごいですよ!スキルのLvをMaxにできる人はそうそういません、それこそ英雄の域でしゅ!」
興奮しずきてなのか、これがマリさんのいつもなのかが分からない。
ここまで噛むと。
それにしても、英雄の域...か。
「えーと、これで登録は完了なのでしょうか?」
「え?、あ、はい。あとは簡単な説明をして終了です」
その後はあっさりしていた。
ランクがS,A,B,C,D,Eあって、そのランクに見合う働きをすれば上に上がれますよ〜って感じ
ちなみにSランクの冒険者は2、3人しかいないそうだ
Sランクになれば英雄扱いらしい。
あと、暴力沙汰は厳しく罰則があるらしい。
審判はやはり審判の神ジャッジ様がしてくれるらしい。
その後、2人でEランクからスタートになり
薬草採取のクエストを受け、しっかりやり終了となった。
薬草採取と言っても門の外にはでない。
門の近くにある草原で取れる。モンスターなどは一切でない。
銅貨を10枚貰った。
ちなみにお金のレートが分からない。
多分
金貨・・・日本円で50万くらい
銀貨・・・日本円で1万くらい
銅貨...日本で1000円くらい
その下に小銅貨・・・100円くらい
ぐらいなのじゃないかなと思う。
あってるかはわからない。
今は冒険者ギルドに備えついている宿に泊まっている。
先生と個室に2人で!
冒険者ギルドに加入してから一週間は無料らしい。
なぜ2人で一緒の部屋にしかもシングルベッドしかない部屋に泊まっているかというと
魔法学校の卒業式がつい最近あったらしく、卒業生のだいたいは冒険者になり、今まで習った魔法を有効に使うと聞いた。(マリさんも魔法学校の卒業生だったらしい。もう2年も前になりますけどと言っていた。)
魔法学校の卒業生もここを使っており、部屋がここしか余っていないらしく、2人でここで寝ることになった。
「では、俺は床で寝ますね。」
本当なら廊下でもいいんだけど、廊下があまり広くないから他の宿泊者の邪魔になってしまう。
「いえ、ベッドで!いいですよ!」
と先生がいう
「先生命令です!ベッドで寝てくれないなら私も床で寝ます」
と言われ仕方なく一緒に寝ているのが現状。
仕方なく!だから!
背中を向かい合わせにして寝ているけど先生の寝息が聞こえてドキッとしてしまう。
色々あったなと、振り返っていたらいつの間にか...
「起きてください、九条くん朝ですよ」
先生の声がする。
そうか寝てしまったのか。
「先生、おはようございます」
先生と向かい合い朝の挨拶を交わす
「ええ、おはようございます」
と、いつもの笑顔で笑った。いや違う。
こんな狂気が
「誰だ。アンタ」
「何を言っているんですか九条くん、私ですよ?貴方の担任の下野美咲ですよ。まさか忘れちゃったなんてことはありませんよね?」
先生と同じ顔、声だけどあきらかに
沈黙が続く。
沈黙を破ったのは先生だった。
「バレたか、なんで分かったんだ?」
「先生はそんな凶悪な笑みを浮かべたりしない。」
「笑顔か、口調とかまったく同じだと思ったんだけどね。まぁいいか。」
「それで、先生をどこにやった?」
「アンタの大好きな先生はここにいるって言ってるだろ?」
自分を指して凶悪、どちらかと言うとイタズラっ子が浮かべるようなニタニタした笑みを浮かべてそう言った。
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