今度は異世界で!
小月 祐月
転移
俺、九条
「勇者さま...」
どこか
その日はいつもと変わらない日常だった。
俺が通っているのは私立神崎学園。
まぁまぁの偏差値で自宅から近かったからここにした。
両親はいない。
孤児だった、協会の前で1人で泣いていたとシスターさんが言っていた。
因みに学費は高校だけは協会が出してくれている
学校では苛められている。あまり足は進まないけど大学に行くにしろ就職するにしろ出席日数は必要だから
よくいじめられる側にも原因はあると言うがあれはいじめられてるやつに言わせればかなり横暴な意見だと思う。
きっかけは些細な事?ではないけどまぁあれはあっちが悪いと思う。
まず、いじめの主犯格は 神崎
名前から分かると思うが学園長の娘。
いわゆる、お嬢様。
なんでそんな奴に苛められるようになったかと言うと
俺のどこに惹かれたのかは知らないけど
告白をされたのだ、でも振った。
なんでって?
まァ確かに顔もいいしスタイルもいい、だけど男を取り巻きとして置いていてまるで逆ハー状態。
しかも告白する時もいた。
「貴方、私と付き合いなさい」
といきなり現れて言われても断る人が大半だと思う。
それにタイプではないのだ。
俺は派手派手してるやつは嫌いというか苦手。
もっと静かで大人しい子が好き。
そんな訳で振った。したら次の日から苛められた。
最初は些細な事だった。
周りから無視されるとかね。
別に喋らなくても人間生きていけると思うし。
告白されたのが1年の一月頃だったから
2年生に入ったあたりで暴力が入ってきた。
仕返しはしない。
そっちの方が楽だし、相手は学園長の娘さん。
退学とかたまったもんじゃない。
大事な進路に傷がつくから。
あと一年ぐらい我慢すればそれで済む話。
「あれぇ〜、ウサギ君じゃん!」
とか思いながら学校の校門辺りに差し掛かった所で後ろから話しかけられる。
神崎華恋の取り巻き1号。名前はたしか東金 集。
金髪に髪を染めていて、勉学もスポーツもできるイケメンくん
女子から相当モテていていつも顔の違う女の子を連れている、因みに固定なのは神崎のみ
「1回で飽きちゃうんだよね、華恋以外。」
とか神崎に言ってたのを違う取り巻きに腹パンされながら聞いてた。
こんな奴の毒牙にかかる女の子が可哀相だよ、まったく。
因みに今も知らない女の子を二人連れてる。
ご愁傷様。
ウサギ君というのは俺は髪が白いのと海兎の兎からじゃないかな。
髪が白いのは色々あったのだ、別にアルビノではない、黒目だし。
まぁ髪は気に入ってるからいいんだけど
「兎って寂しいと死んじゃうんだよね?ウサギ君が死んじゃうのはやだなー。俺、優しいから華恋のとこ連れてってあげるよ。」
直訳すると苛めるからついて来い。
黙って付いてくしかないのだ。
「俺の可愛いハニー達。ウサギ君が寂しいくて死んじゃうよーって言ってるから俺は優しいから連れてってあげようかなって思ってさ。ごめんね。また後で会おう。」
キャーってなってる女の子2名。
だが明日ぐらいには捨てられていると思う
因みに寂しくて死んじゃうよーなんて言ってないから
まぁその後はいつも通りだった。
神崎の所に行き取り巻きにサンドバッグにされ
チャイムがなり席についた。
そこからがいつもと違ったのだった。
下野 美咲。このクラスの担任が入ってきた
この学校で唯一、俺に優しい人でメガネがトレードマークの茶髪美人。
取り巻き2号、成川
そいつがボクシング部のエースなんだけど、そいつにぶん殴られたりした後とかは先生が包帯とか持ってきてくれて、治療をしてくれる。
先生には、俺がどんなことをされていても気にかけないでくださいって言ったらせめてその後はなにかさせて下さいって言ってくれた、まじ天使。
先生辞めさせられたら嫌ですからって言ったらガチ泣きしてくれたのさ、先生のためだけに学校に来ていると言っても過言ではない。
「皆さん、おはようございます」
そう先生が言った瞬間世界が一変した。
床が、光ったと思ったら西洋風のお城の中にいた
そして冒頭にもどる
「勇者さま...」
いかにもお姫様っていう感じの少女がそう言った。
皆が状況を理解するのに時間がかかった、そしてある生徒が言った
「勇者って、あの魔王をやっつける勇者?」
「はい、そうです。皆様がその勇者さまなのです。実は私達の人族の国が魔王の手によって危機に脅かされているのです、そこで文献に残っていた『勇者召喚』の儀式を執り行なわさせて頂き、皆様が召喚に応じて下さったのです、どうか私達に力を貸して頂けないでしょうか。」
周りから「まじか」とか「おおっ!」など色んな声があがっている
因みに俺は絶対嫌だ、なんで危険な事をしなければならないのだと思ってしまう
ただ問題なのはクラスの大半というか俺と見た限りではもう1人以外は皆、やる気だ
「それで、帰れるのかしら?」
遂に出てきた、このクラスの魔王神崎
「いえ、人族には伝わっておらないのです、ただ魔王が持つ失われた魔法なら帰還ができると思います」
俺は見てしまったのだ、お姫様が一瞬目をそらしたのを。
で、多分知らないから魔王に丸投げしたという訳だ
「そう、わかったわ。で?私達は何をすればいいのかしら?」
「はい、この後は皆様の手を今私が持っている水晶の上に置いていただいて、職業とスキルのご確認をして頂きます」
職業とスキルかぁー、どんどんゲームみたいになっていってる。
それがどこか、違和感を覚える。
他のみんなはまるでゲームの中に入ってしまったような感覚でいるのだろう、ただここは現実だということが分かっているのだろうか
そんなことを考えていたら俺の番がきた。
この水晶の上に手をのせればいいのか。
因みに反応を見る限り、さっき絡んできた取り巻き1号が今のところ1番いい結果らしい。
だって女子がキャーキャーしてるもん
ん?いつもか。
俺が手を置いた瞬間、水晶が青く光りお姫様が持っていた紙に字を書き始めた。
「...使えない。」
紙を見たお姫様がそう小声で呟いた。
だが瞬時に先ほどまで見せていた笑顔に戻り
「終わりました。はい、どうぞ。」
と見せてきた。
俺はその紙を見て少しの安心と不安を覚えた
☆
九条 海兎
男 17歳
LV.1
職業 『弓士』
スキル『鷹目Lv1』『共通言語理解』
称号 『勇者?』
☆
なんか、普通って感じじゃないのかな?
『共通言語理解』ってのは転移した時に絶対に持っているものらしい、まぁそうしないと話が通じないしね。
「職業の説明をしますね、《弓士》っていうのは平民が弓を少し学べば転職可能な職業です、つまり勇者さま方の中で1番使えない職業となります。それに称号の所に勇者に?マークがついていらっしゃいますね、本当に勇者さまなのですか?」
すごく心にくる言われ方をされた。
して、なんと言おうか
「いえ、
俺まだ何も言ってないんだけど...。
というか酷い言われようなのだが
「そうですか、分かりました。ある程度使って役に立たなくなったら捨ててもよろしいのでしょうか?」
納得すんなし、なに捨てるって?完全にもの扱いですかい。
「ええ、それに今日中には処分したいので、捨てる場所って近くにありますか?私穢らわしい物って好きじゃありませんの。」
なんか意気投合してる2人。
そしてまだ一言も発してない俺
お2人は仲がよろしいようで...
「...私も今日中にはこの城を出るわ。」
俺以外でやる気のないもう一人、柊
聞いた話によると父親が国会議員で、母親は融資系の会社に勤めているらしい。
というか私もって俺も城から出る予定なの!?
「貴女は、前回の勇者さまですよね?」
(・д・。)
イマナンテイッタ?
「そう、前回はちゃんと封印しそこねた...だから今回は完全に封印してみせる。」
「文献に書かれたことによると貴女は1人で召喚されたのですよね?なら今回は貴女の他にも沢山の勇者さまがいます。皆で手を取り合っ「いらない...私1人で充分、面倒臭いからもう行く。」
そう言った彼女はその瞬間消えた。
跡形もなく姿を消した。
その後はお姫様の話を聞いた
お姫様の名前は ルーラ・マクベリーと言うらしい
なんというか飛び立てそうな名前。
国名はマクベリー王国。
この世界の名前が『エール』と言うらしく
この世界での、魔物の倒し方などをレクチャーされ終わった後
ちなみに一切柊の事は話さなかった
「勇者さま方に職業に合った武器を皆様に配布致します。」
みんなが配られている中俺の所には来ない。
Σ(´□`;)
もしかして。
俺武器なし?
「あれぇ?ウサギ君武器わ?」
なんか似たような登場の仕方。取り巻き1号君だ。
こいつ、わざとやってないか?
「なんかウサギ君が武器ないってよ?ルーラちゃん」
「はい?たかが
そうきたか...。
あんまり出る気ではなかったがここにいては前ではなく後ろにやられる。
俺も今日中には城を出るか。
「それではこの後は皆様が召喚に応じて下さったことに祝いまして宴を開きます。それでは皆様少しの間お待ちください。」
そういいどこかに行く。
宴には参加して皆が寝静まった後に出させて頂こう。
お姫様がいなくなった途端栓の蓋を取ったかのように皆がざわざわしてきた。
「なぁなぁどうする?俺達勇者だぜ?姫様はあれだけど可愛い女の子いっぱい囲み放題だぜ?」
とか
「ゲームみたいで楽しくね?地道にレベル上げして魔王倒すしかないっしょ」
「どうせ魔王ってのを倒せば帰れんでしょう?柊さんだってこっちから帰ったんでしょ?じゃあ楽しみましょ」
とか色々言いたい放題言っているがここはゲームみたいだが、現実の延長戦
死ねばゲームみたいにセーブポイントに戻ってきてやり直しなんてできない。
確かにいきなり非日常に触れてしまい興奮するのは分かるけど、前を見失いすぎな気がする。
皆が言う魔王がそんなに簡単に倒せてしまったら俺達が呼ばれる意味なんてないのに。
どうせ今日でおさらばだし、こっちで生きていくって決めたし特にあっちに帰りたい理由もないし
ただ心配なのは先生。こんな奴らと一緒に残ってしまったら先生の身に危険が及ぶのでは...と。
でも、先生だから大丈夫か。謎の安心感があった。
「皆様おまたせ致しました、宴の準備ができたのでこちらの部屋に。」
といいみんなで付いていく
その後は出された料理を皆食べていた。
俺はただ眺めていた、お姫様が食べないのですか?と笑顔で近づいてきたことで確信したのだ、毒が入っているんじゃないかと
だって、さっきまであんな事を言ってた奴が突然優しくなったら裏があるに決まってるだろ
その時はいただきますといい食べるふりをした。
すると次第に皆が倒れていくではないか
空気を読んで一緒に倒れたのだがそしたらお姫様が腕輪を取り出して悪そうな笑顔を浮かべていた。
因みに俺はお姫様から距離はあったのだがうっすら目を開けて『鷹の目lv1』を発動させて見ていた。
「さて、皆様を自分のお部屋に連れて行って差し上げて、あと
そういうと部屋に黒いお面をつけた連中が入ってきて俺達を持ち上げた
しっかりと寝てる振りをしてる。
多分
あれは言うことを聞かせるみたいな役割をするのではないかと思う。
俺は自室らしいベッドに寝かされた
そして黒のお面をつけた奴は出ていく。
もう出る頃合いだろう、城を経つ準備なんてものはないしね。
これ以上居ても損しかない。
だが問題が生じる、どうやって出ればいいかわからない。
まぁ無難に行こう。
城をさまようこと30分ぐらい。
やっと外に出れた。
怖いことに、誰とも会わなかったのだ
さて、どう行こうか
二択ある。
森をさまよっていくか、城下町を突っ切るか
安全じゃないけど安全なのは森。
魔物が、この世界にはいる。
「裏の森は低レベルの魔物がいますので明日などに狩りに行ってみましょう」
とお姫様が言っていたのを思い出した。
追手なんてくるのかはわからないけどそういう意味ではこっちの方が安全なのだ
城下町から逃げるとなると時間との勝負だと思う
逃げ出している事がバレ、追手がきたら即刻見つかるのは城下町の方だと思うから
森で行こう、低レベルの魔物って言ってたし俺でも倒せるだろう。
森に入ろうとした瞬間
後ろから
「ちょっと待ってください!」
「...なんでいるんですか、先生」
ベッドで眠っているはずの先生がそこにいた。
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