出てきた!マンガ美少年?!

@cosakunin

第1話 

中途半端な時期に転校生がやってきた。


入学式一週間後のことだった。 


いつもとかわらない日だったのだが・・・。



転校生の彼が入ってきた瞬間、さわやかな風が吹き


空気中に手品のように花が咲いた。らしい


なんせ皆が見たのは瞼を動かすような一瞬のことだったので、

手品と思うしかないようだった。


しかも、目はキラキラとしていて、髪の毛はサラサラとした栗茶色


スラットした長い脚 ジャニーズ張りのイケメン(?)だった


(正直、目が悪いし人を直視するのは(特に男)怖くてできない)


みていた私は自分を疑って友達に確認を取った。


「今の・・・・なに?」


「いまどき手品で気を引こうなんてすごいね」


友人の明菜は、岩のように物おじせずいった。


私はそういう次元ではないと思ったのだが、普通の人はそう処理できるのだろうか


すでにざわめきたつ教室。


今の時代にそんな目立つことをする生徒はまずいない。


初めから目につく行動をしていじめのターゲットにされてはかなわないし、


まず新しい環境でそのようなことをする度胸がない。


(関わりない人種だ・・・)


先生は何事もなかったように(いや鈍いからかもしれない)


転校生に自己紹介を進めた。


「やぁ、ぼくは ヒカル! よろしくね!」


ウィンクした なぜか瞼から星が飛んだ。


関西人なら即ツッコミするだろう場面を見た


皆、見たことないものを見て教室の空気がフリーズしたようだ。


明菜の顔を伺おうとしたが、すでに単語帳に目をやっていた。


私はこんな珍妙なものを見てしまったので


誰かと共有したくてうずうずしてるのに、なんと冷たい奴だ。


そのあと ヒカルというやつは自己紹介していたのだが


どこかできいたようなテンプレを並べていた。


ファーストインパクトが大きくて内容はよく覚えていない。


これが ヒカル というやつとの出会いでもあった。


(こんなやつどっかでみたことあるなぁ・・・・)


何となくもやもや思い出したのは 母親の本棚の少女マンガ。


タイトルは思い出せない。一巻の半分で読むのをやめた。


内容があまりにも平成学生には吐き出すほど甘ったるくて


読むのをやめた記憶はあった。


ほかの少女マンガはまだ読めたのになぜか無理だった。


(いや、この表現の古臭さってまさか・・・・)


「ということで、 上野 春奈さんのとなりおねがいします」


隣の席が用意されていたことに今気が付いた。


いや、朝みて確認していたのだが、あまり気にもせずに今さっきまで忘れていたのが


本当である。


私もさすがにこれは脳内警報が出て、明菜にSOSの信号を送るのだが


暖簾に腕押しのごとく、ガン無視された。


(おのれ、おぼえてろよぉ・・・・)


「よろしくね!春奈さん」


背筋がかゆくなった。 私は奇病で死ぬかもしれない。


いきなり名前で呼ぶのは、イケメンに許される行為らしい。


私は、苗字を書いてある黒板をちらと見て、ミツオの苗字を確認したうえで、


首を縦にゆっくりふっただけだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

出てきた!マンガ美少年?! @cosakunin

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る