水着選び

「綴君」

「由美さん。奇遇だね」


 由美さんは、薄手のカーディガンにロングスカートといったシンプルな服装をしていた。色合いは梅雨入りということで、淡い色を上手く使っている。


「由美さんも水着選び?」

「うん。一昨年のやつだから、ちょっとキツくなっちゃって」

「そうなんだ。実はうちの真澄も同じで、キツいのに大丈夫とか言ってたから、無理矢理連れて来た」

「ああ、真澄ちゃんだったらありそうだね。今試着室?」

「ええ。なんかよくわかりませんが、選ぶの手伝ってます」

「そうなんだ。綴君。センス良さそうだもんね」


 別にそこまでいいとは思ってない。実際、自分の服装に関してはかなり無頓着なところはある。ただ他人、特に女性が相手では訳が違う。かれこれ何年も真澄の服を選んできた俺だ。相当な自信はある。

 ちょっと誇らしげに、「まあそれなにり」なんて自慢をする。そしたら由美さんは少しだね悩んでから、「私も頼んでいいかな?」とお願いしてきた。


「由美さんのを?」

「うん。私、服のセンスないから」


 シンプルで可愛らしいと思うが、由美さん的にはそうではないのかもしれない。それに断る理由もなかったので、潔くOKする。


「本当!? ありがとう」


 笑顔でお礼を言われた。

 しかし由美さんの水着か……何か似合うかな?


 

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