久々の一人

 翌日。真澄は別れを惜しみながらも修学旅行に行った。俺は本日は講義が休みなので、久々に家で一人の時間を過ごしている。


「しかし……」


 一人だと、何をしていいものはわからないな。


 午前中に掃除やら洗濯なんかを済ませてしまったので、今は休憩中。ただ休んでいるこの時間が少し勿体ないと思ってしまう。


 何かやれることってあったかな?


 ゲームに溜め込んだ本の消化、実はやれることは色々あるにはあるのだが、どうにも気乗りしなかった。どうせなら、一人ならではのことを楽しみたいものだ。

 ただなんだ……考えても考えても何をすればいいのかわからない。


 俺は意外と、趣味のない人間だったのか……。


 そんなことに軽い絶望感を覚えていると、玄関のインターホンが鳴った。

 誰だと思ったと同時に、鈴木だと嬉しいなと思いもした。

 だけどあいつ、今日は講義だったし、宅配かな。


「はい」


 ドアフォンから映し出される映像を確認する。そこにいたのは、ちょっとおめかしした由美さんだった。

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