田中さんは混乱している

「何ですの! まさか真澄はお兄さんと禁断の関係になっているのですの!?」

「いやなってないから」

 なってたら色々と問題になってるから、やめてください。

「え~。お兄ちゃんは私のこと好きじゃないの?」

「好きだけどそうじゃないだろ」

 真澄は実に残念だと言いそうな顔(表情変わってないけど)をして、ちょっと真顔になる(それこそ表情変わってないけど)。

「では本当に付き合ってないのですね?」

「だから、そうだって言ってる」

「ならば信じましょう」

 しかし田中さんの表情は険しかった。というのも、いまだに真澄が俺の腕に引っ付いているからだ。だけどこいつは離れろと言って離れるような妹ではない、自分の興味が別のところに行かない限り、恐らくはこのままだろう。

「真澄はなんでお兄さんとその……腕を組んでいるんですの?」

「えっ? 何でって言われたって……」

 まあ考えてないだろうな。

「お兄ちゃんの腕がそこにあったから?」

「ならばお兄さんの腕がなくなればいいのですね?」

 何恐い事言っちゃてるのこの子?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る