休憩はいりま~す

 時刻は昼を過ぎ、二時に差し掛かろうとしていた。ふと気付いた俺は遅めの昼食を作るべく台所の方に移動する。

 本日の当番は俺なので、作るのはしかたがないこととはいえ、今台所に行くのはなんだか嫌な気分だ。家のキッチンはダイニングを超えた先にあるので、必然的に田中さんと真澄のいる空間に足を運ぶことになる。

「……」

 俺が真澄の後ろを通るのを、田中さんは食い入るように睨んでくる。正直怖い。心臓に悪い。胃が持たない……。

 自宅でここまで居心地が悪くなったことがいままであっただろうか? いやすみません。以前田中さんが来た時もこんな感じでした。

 彼女の視線を何とか潜りぬけ、台所にはいる。真澄はそれを感じとったらしく、勉強を切り上げ俺の方に来た。ついでに怖い形相の田中さんも来た。やめて、来ないで。

「お兄ちゃん。今日は何にするの?」

「あ~。人数も人数だしそうめんでいいかなって」

「お。やった~」

 嬉しそうな顔に(まったく表情は変わってないが)ほっこりするも、少し視線を外せば田中さんのまるで暗殺者のような目つきが見える。一瞬で血の気が引けた。

 チラリと鈴木に助けを求めるためのアイコンタクトを送るも。あいつは笑いを堪えることに必死で、こちらに関わって来る気はないようだった。

「さっと作るから、真澄は田中さんとテーブルの上片付けといて」

 嫌な汗を流しながらもそう指示を出し、真澄は素直に従った。田中さんもその後ろについて行くも、台所を出る時にまた恐ろしい視線を投げかけて来る。

「~~~~~~~」

 今何か言ってなかったか? よく聞き取れなかったけど、口の動きははっきりしてた。たぶんあれは、お…ぼ…え…て…な…さ……い…………。

 俺は、明日まで生きてることができるのだろうか……。

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