兄の友達

「―――てなことがこないだあってな」

「何それ。妹ちゃんの友達ってだいぶやばいね」

「俺もそう思う」

 俺の隣で講義を話し半分で聞いているのは、俺の友達である鈴木歩すずきあゆ。海魚と川魚が共存する珍しいやつだ。

「今久々に馬鹿にされた感じがしたんだけど?」

「気のせいだ。今この瞬間でお前を馬鹿にするやつは一人もいない」

「ふ~ん。まあいいけどな。それより妹ちゃん元気なの? 相変わらずお兄ちゃんにべったりなのかい?」

 こいつは高校の時からの知り合いで、家にもなんどか遊びに来たことはある。その時に真澄に会っているので、面識はあるのだ。

「別にべったりではないだろう。普通の兄妹関係だ」

「お前らの関係を普通っていうなら、世の中の兄妹は絶縁状態だな」

 それほどまでに世の兄妹事情は深刻だったのか。家は円満でよかった。

「でもいいよな~妹。俺も現実リアルに欲しかった」

「そういえば、今日は来てないのか? 妹」

「ああ、いるよ?」

 そう言って鞄の中から取り出したのは、PSVプレイステンションヴェータだった。

「今の俺の妹は、こまりちゃんだ!」

 画面には。愛らしい笑顔を浮かべた可愛い女の子がいた。

「…………そうか。変わったんだな」

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