【SF】ストラクチャードアムニジア<深層心理操作実験>

柿木まめ太

第一章 Scoop Warrior

プロローグ

 人類が未曾有の発展を遂げた西暦2100年代前半――


 電子工学の分野は、医療、軍事、工業生産ラインのさらなる円滑化、コスト削減に貢献する技術として恐るべきスピードでの進化を続けていた。VR<Virtual Reality>の娯楽分野への転用は後進であったほどだ。

 そして、果てなき人類の希求は遂に電脳世界を生み出すに至り、人々を仮想空間の住民として完全に没入させる事にさえ成功した。意識の電子コード化、ダイレクトに思考とマシンを直結するアバターシステムの更なる向上、人は夢想状態に居る時と同じようにバーチャルの作り出す世界に降り立ち、闊歩する事となった。


 VRMMORPG、従来のゲーム型ファンタジー世界を運営管理する者は、もはや人間ではない。高度に発達した人工知能、俗に言う<Artificial intelligence Technology>が人的作業の全てを代行する。電脳空間の完全オートメーション化が主流となって久しい時代だ。人間は製作の段階のみに関わり、土台のプログラミングと出資以外にはする事がなかった。各種アップデートもメンテナンスも、全ては電脳空間が自動的に執り行う事が普通と考えられている。


 電子の牧場に遊ぶ羊たちは、ともすればその事実を忘れがちだった。



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