未来は魔法世界でした。

鳴海勇太

第1話 プロローグ 始まり

 西暦2050年。時代は宇宙にも進み、暮らしもより豊かになってはいるが

それは一部の成功者だけで、格差は大きく、あまり治安はよくなかった。


 それが原因でこの日本でも内戦は起こり、そのせいで日本の地形も

街の名前も少しずつ変わって行っていた。

 それはここ日本の都市も同じで、少し前は東京と言われていたが

2040年に成功者以外の者達が反乱をお越し、都市機能が

衰退し、今では都市機能は東と西にわけられていた。その東京は今

東ノ京(ひがしのきょう)と変わり、もう一つの都市は西の京都

現、西ノ京(にしのきょう)へと変わり、主に成功者は東ノ京に

残っていた。


 東ノ京は一度は沈みかけたが、他国からの支援で復活し

今では宇宙へと行くロケットシティーまでが存在する。

 一方西ノ京は時代が遡ったかのような生活になり貧しい者達が

多く暮らしていた。

 そこに一人の高校生男子がいた。それが椎名勇樹、普通の

生徒、いや、少しオタクな彼だった。

 椎名はまだ普通の暮らしができる家に生まれたが、それで

満足する子ではなかった。

 椎名はオタクで漫画やゲームでよく未来や異世界を創造し

いつかそんなファンタジーな世界にしたいと思い、物づくり

の技術を磨いていた。でも、家は普通なので、専門の学校には

行けず、普通の高校に通っていた。


 「椎名これ直してくれよ」

 「椎名くん私のも」


 ここは西ノ京都嵐学園(にしのきょうとあらしがくえん)という

普通の学園だ。その学園の二年A組に椎名は居た。

 この学園で椎名を知らない者はおらず、有名人でかつ

人気者だ。それは椎名の明るい性格と、優しが皆を引き付けていた。

 さらに、椎名はいつかこの時代を変えるとも言っているので

皆、椎名を尊敬もしていた。

 

 「いいぜ、順番に直してやるよ」


 と、椎名はいつもの頭につけているゴーグルをつけ、いつも

身に着けている工具を制服の内側から取り出し、修理を

始めた。

 今依頼があったのは、携帯と腕時計で、これなら椎名は

すぐに直せた。短い休み時間で、治せるので椎名は

休み時間、ほぼ何かの修理をしていた。


 昼休み、椎名は真っ先に食堂に行き、昼飯を食べる。それは

すぐに食べないと、次から次に修理の依頼が来るので

食べる時間がなくなるからだ。

 昼食を終え、教室に戻るとやっぱり椎名の机の周りには

依頼者がたくさんいた。

 それが椎名の学園生活だ。そして椎名はそれが卒業まで

続き、卒業後は一流の企業に入り、そこから革命を

起こすことを夢みていたが、それは突然おとずれた。


 ある時、椎名は一番遅くに学園を出る。それは修理の

せいでもあるが、椎名は夜の学園も好きだったのでそれを

理由に残っていたのだ。

 そして、それが原因か、この日もいつものように修理を

終え、下校しようとした時だった。グラウンドを抜けて

校門を出た瞬間、目の前が光り出した。


 「これは!?」


 椎名はその光から目が離せなかった。そして、椎名は

光に吸い込まれてしまった。


 ――


 椎名は目を覚ました。その目に入って来たのは知らない

天上だ。どうやらベッドに寝ている様だ。

 さっきまで学園の校門に居たのは覚えているがそれから

先の事がわからなく、椎名は上半身をお越し、今どうなって

いるのかを考えた。それで、あの光の事を思い出しその

光に飲み込まれたと気づいた。そうして椎名は一つの答えを

出した。


 「ここはまさか異世界か!?」

 

 椎名はオタクでもあるので、さっきの状況を考えるとその

答えにたどりつく。

 

 椎名は好奇心にかられ、ベッドから飛び降り、カーテンを

開けた。すると、そこは保健室の様にも見えたが、それより

そこに居た女性が目に入って来た。

 その女性は金髪の長い髪に、保険医の格好をしており

さらに、外人の様な美人で巨乳だった。それは椎名の好みの

タイプの一つでもあり、普段明るい椎名がその女性を前に

少し大人しくなった。


 「気が付いたか少年」


 その女性が声をかけてきた。それはとてもきれいな声だった。


 「ハ、イ。えっと、あの、ここは?」

 「ここは保健室だ」

 「それはわかります。えっと俺が言いたいのは」

 「わかってる。ここがお前の居た世界、正しくは

お前が居た時代とは違うという事だ。お前は過去の者

だろ?椎名勇樹くん」

 「!?過去の者?それに俺の名前も」

 「ああ。キミが寝ている間にこの生徒手帳を見させて

もらったよ」

 「あ、なるほど。でも、過去の者って」

 「それはキミの生徒手帳に西暦2050年と書いて

あったからだ。つまり、キミは過去の者という事だ」

 「という事はここは異世界じゃなくて、未来?」

 「そうなるのかな。キミからしたら。ちなみにここは

西暦2150年だ。キミの時代からちょうど100年後と

いうわけだな」

 「100年後の未来!?すげぇタイムマシンに乗った

気分だ。すげぇー」


 椎名はオタクだ。普通の人なら困惑する話だが椎名は

逆に感動すらしている。それには彼女も驚いていた。


 「のんきだな。未来に飛ばされたというのに」

 「そ、そうっすね。でも、よくそんなに信じますね!

いくら生徒手帳に書いてあっても」

 「ああ。それはな、この時代が魔法時代だから」

 「魔法!?魔法ってあの?」

 「そうだ。こういうのが魔法だ」

 「!?」


 彼女は手のひらに炎を出した。それはまさしく魔法だ。


 「す、すげぇー超すげぇ――!!100年後には魔法が

使えるのか!」

 「本当にのんきな奴だ。自分が帰れるかどうかも

わからんのに」

 「あ!?」


 椎名はその一言で冷静になった。


 「あの、俺どうすれば?」

 「そうだな。帰る方法を探すしかないだろう。転送魔法や

空間魔法でどうにかなるかもしれんが、過去に遅れるかは

わからんからな。お前はどうやってここに来た?」

 「えっと、確か」


 椎名はあの光の事を話した。それには彼女も思い当たる

ふしはないようだった。


 「その光は気になるな。よし、それなら私がその光を

調べてやろう。これも何かの縁んだ。お前を元の時代に

返してやるよ」

 「本当ですか?ありがとうございます。俺は早く帰って

やらなきゃいけない事があるんです」

 「やらなきゃいけない事か。それは気になるが今日はもう

遅い。今日の所はお前はここに泊まって行きな。私が

色々やっておいてやるから」

 「本当にありがとうございます。えっと」

 「ああ、私はミア・S・めぐみ。ハーフだ」

 「俺は椎名勇樹です。えっと、ここは日本ですのね?」

 「そうだ。今のこの日本は私の様なハーフがほとんど

でな。純粋な日本人は少ないんだ」

 「そうですか。そういう未来なんですね」

 「そういう事だな。まぁそういう事は明日話そう。今は

いくらのんきなキミでも頭は混乱しているだろうからな。もう

寝るといい。ここは安全だしな」

 「わかりましたそうします。あの、助かりました。あなたの

様ないい人に見つけてもらえて」

 「良い人か。そうでもないけどな。まぁ今はそういう事に

しておくか。それじゃぁな」

「ハイ。おやすみなさい」


 ミアは部屋を出ていった。椎名はまだここが未来だと

いう事を信じ切れてなかったが、今は眠くなってきたので

寝ることにした。

 これが椎名とミアの出会いだった。


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未来は魔法世界でした。 鳴海勇太 @megumix1967

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