紅空の劣種機兵
@arudebaran3103
序章
臆病な母はこう告げる「力の強い者に逆らってはいけない」と。
強気な父はこう告げる「圧力に負けるな、自分の信じた道を行け」と。
小さな頭ではどちらも理解しがたい内容だった。その意味を理解した今でも、どちらの言葉に従い生きればいいのか、全くわからない。
『機兵No.3323 ワタリ・ミナヅキ、暴徒鎮圧の指令が発令、直ちに敵を殲滅せよ』
音声合成機器から出たような、機械音のような声に目が覚める。自らの身体を見れば、無数のプラグコードが接続された鋼鉄の両腕、身体に張り付くパイロットスーツ。そう言えば、ここは―――――――――
「―――ッ、指令内容了承、『ジャライトRk-701型』起動準備」
意識がはっきりと戻る。
そうだ、ここはコックピット、それも大型ロボットの。戦闘前だったというのにコックピットの中で眠りこけていたとは、一生の不覚だ。上位階級の奴等にバレたら肺の1個じゃ足りないだろう。
「起動準備完了、モニターをOn…カメラ感度良好。カタパルトを」
『起動準備確認、機体をカタパルトへ移動』
そう、俺は今戦っている、平和を脅かす者たちと。俺達人類から平和と文化を奪ったという生物の平和を守るために。
「良し、ワタリ・ミナヅキ、701型、出ます」
カタパルトが猛スピードで射出され、Gを身体で感じる。機体はアサルトライフルのような連射可能な銃武装を片手に持ち、光を反射する銀のボディは、複数の眼が付いたような奇妙なデザインの頭のせいか、その輝きを不気味なものとしている。
細身の機体がカタパルトから分離すると同時に、視界に飛び込んできたのは、自分の乗っているものと同種のロボット、それが5機。それに乗っているのは、今の世界をよく思わず、それを覆そうと考える暴徒――つまり人間だ。
「…目標確認、殲滅を開始します」
それでも、手加減などしない。彼らは「今の平和」を破壊する「敵」だ。
迷いが無い、と言えば嘘になるが、今はただ戦うしかないのだ。
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