第75☆後で覚えるシナリオ表現

 なにせシナリオは技術職だし、書かないことには成立しない世界です。

 わたくしもノイタミナの「舟を編む」(三浦しをん:原作)の一部を描写してみて初めて分かったことがいくつかありました。

 情景描写は端的に。「灰色のビル群。白々と明けた空。地面をつつくスズメたち。電線には五十羽くらいのハトたちが身を寄せ合っている。遠くに馬締と香具矢が一緒に乗った観覧車が上の方の半分だけ見えている」

 人物の動き。「顔面アップ=驚いた顔の馬締、などと名前を最後に書くこと。立ち去るシーン=馬締、廊下を足早に歩いていく、などと「行く」んだなとわかるように書く。人物がやってくるシーン=馬締、襖を開けて廊下に出てくる、などと「くる」ことをはっきりと書く。注目させたいアイテム=受け取った封書。宛名は林タケとある、などと書く」といいんじゃないかなあ。


「舟を編む」は紀伊国屋で買ったのですが、分厚いので後回しにして結局押し入れ行きになった本です。今どこにあるのかわからない。読めばよかった。

 しかし絵になるとその素晴らしさが際立ちますね。作者の感性が素敵な証拠です。わたくしもアニメ化したい。いいや、まず小説を書きたい。

 ちなみに、良い脚本を書くひとは良い小説を書けるそうですが、小説を書くひとが良いシナリオを書くのは無理だそうです。なぜなんだろう。わたくしはラノベを読むくらいの年齢のときに某有名なドラマの脚本を書いていた人が出したラノベを読んでしまったので、どうしても影響されております。文章は詩を読むと良いとジョン・トッドが「自分を鍛える!」で言ってますが、わたくしは確証がないと思っております。

 講師いわく、「どんな有名な詩人でも、独創的スタイルを持たず、普遍的言語を用いるものだ」と。わたくしはちょっと文章に変な癖があったのですね。だから、シナリオで文学的表現を排除して、端的に書く練習をしました。成功するといいなあ。

 けれど失敗もあります。なんと、全文を現在形で描いてしまい、公募で「シナリオみたいな書き方になっている」と注意されました。へこみました。なんで気づかなかったのだろう。今考えるとお笑い種です。ただ語尾に注意する、それだけのことだったのに。なにかと初心者はイタイのです。他山の石と思ってくださって結構です。

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