第11話:「まささん、ついに陥落する」の巻
(逆プロポーズとも取れるねねさんの発言に「目玉ドコー」のまささんなのでした)
「どですか、まささん?」
「いや、たぶん、そんな状況になったら驚くんじゃないかな。よくわかんないけど(心の声:つーか、なんで母親だけ? 父親はどーでもいいの?)」
「驚くだけ?」
「それ以外には思い付かないや。というか、話の脈絡がさっぱり──」
「わたし、料理上手いよ。まささんのお母さんに尽くすよ」
「いや、だから、話の脈絡が──(心の声:こ、こ、こ、これは、いったい何が起きてるんだ!? 罠か! やっぱり罠か! いわゆるひとつのハニートラップという奴なのか!?)」
「だからねー」
「だから?」
「五年経ってふたりとも他にいいひといなかたら、わたしとまささんケコンしましょ」
「……五年?」
「五年です」
「なぜ五年?」
「まささんはムチですか? 女には子供産むためのリミットがあるですよ」
「それは知ってる」
「だたら、相手を見極めるリミットも当然あると、なんでわからないですか。まささんのその目はフシアナですか?」
まささんはここで気付くべきでした。
何に?
いま自分が話している相手が、いわゆる「酔っ払い」であるという事実にです。
酔っ払い相手に理屈なんかが通用するわけありません。
そんな酔っ払いの勢いに呑まれて目を白黒させるだけのまささんに、ねねさんがジョッキをぐいっとやりながら詰め寄ります。
「とりあえず、わたし、まささんをキープします。まささんは、今日から五年間、わたしのことだけ見てください。五年間、わたしに問題なかたら、まささん責任とてください。女の五年間奪ったんだから、責任取る義務あります。何か文句ありますか?」
「そんな一方的な。そもそもこっちはそんなつもりじゃ……」
「ああん!? 何か言いましたか!?」
「……スイマセン。ボクが悪かったです」
「わかればいいんです。ちなみにわたし、ほかに好きなひとできたら、すぱっとまささんとお別れするんで安心してください。でも、まささんがほかに好きなひと作たら、それ浮気です。わたし、浮気するひと大嫌いです。ボコボコにするんでカクゴしてください」
「……(心の声:なんという……なんという不平等条約だ!!!)」
「何か言いたそうですね?」
「いえ、何も文句はありません……はい」
「おゥ、めでたいことです。おにさん! 生中とウーロン茶ひとつずつ! じゃあ、まささん、乾杯しましょう。かんぱーい!」
「
かくして、ネギの嫌いな「まささん」と、のんべの韓国人「ねねさん」のちょっとおかしな交際は、ここに幕を開けたのでした。
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