サエセカ

瀬葉 亜利為

Prologue

「ところでアノ計画はどうなった。」

黒いスーツを身に纏った男は田舎町のはずれに住む男を訪ねていた。

暗い森には動物以外はいなかったのだが、なぜか騒がしいように思えた。

「ああ、FM-Pのことか。」

「その名前を出すのは控えて欲しい。」

それは彼等にとって夢のようなことだった。上に言われた事を忠実にこなしていた。

「あぁすまん。今の状況だが実験体が見つかった。これから試す。」

そう言って封筒から資料を取り出した。

「黒葉透。17歳、春ノ瀬高校在籍。そして...」

「FMを持っているのか。」

みすぼらしい姿をした男はうなずいて写真を懐にしまった。

「まずは彼をあそこへ導かなくては。なにか考えがあるのだろ。」

「ああ。彼の幼馴染を使えばいい。」

「そうか」

スーツの男は不敵に笑うと去って行った

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