ごく当たり前な日常 八

 市川駅前 飲み屋街 表通り


 To Heavenから出た久保田くぼた寿明かずあきは気分良く賑やかな飲み屋街を歩いていた。


「ヒヒッ!」


――まさかこうも簡単に噂のキャバ嬢の家に行けるとはな、確か近くにコンビニがあったから念の為買っておくか、念の為な。


 下卑げびた笑いを見せる久保田は妄想を膨らませながら、麗華との待ち合わせ場所の近くにあるコンビニへ早歩きで向かって行く。


――ビッチくせーが、理恵りえ優香ゆかよりはテクがありそうだぜ。


「ヒヒっ!!」


 体格がデカいうえに、下卑た笑いをしてるせいか周りにいる人達の視線を集めているが、久保田からしてみればそんなのはどうでもよかった。


 久保田は知らない。


 彼女の言動が全て偽りであり、既に手の平の上で踊らされていることを。


 そして、最高な夜になることも、ただの妄想に過ぎなかった。

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