強かな女

「そういや、マンガとかアニメとかでさ。

 髪を解くと、眠っていた封印の力が解放されて一段と強くなる、

 みたいなシーンあるじゃん?」


「あー、確かに。

 ごくせんのヤンクミも、ヘアゴム外すと、別人みたく強くなるもんねー」


「でもさぁ、ウチらが何かに集中したい時ってさ、

 大抵、こう髪を一本にまとめることがざらじゃない?」


「そうだね」


「んで、家でリラックスしたいときは、解くでしょ。

 だから、矛盾してんなー、って最近思ったワケよ」


「そうだよね。髪をまとめると、心なしか気持ちもぐんと引き締まるっていうか。

 弓道部の子なんかは皆、後ろで束ねてるしね」


「つまり!

 二次元の女は、解くことで強くなる!

 三次元の女は、逆に縛ることで強くなるって、ことさね!」


「ってことはさぁ……、

 俗に言うSMプレイ、ってやつは、

 女を強く磨くための試練、ってことなんだね!?」


「あぁ! そうだとも!

 言われてみれば、あのぱっつんぱっつんのボンテージ姿に、女王様だなんて、

 強かな女の象徴じゃないか!」


「私、女王様になる!

 そんでもって、男子を踏ん付けてやるんだから!」



ふと、顔を上げると、室内の掛け時計は、間もなく1時を差し示そうとしていた。


「おっとと、そろそろ放送時間だぜ?」




お昼休み。スピーカにノイズが走ると、校内の生徒は皆、それに注目を集めた。




───ぴんぽん、ぱんぽん。


   こんにちは。

   放送委員による、お昼の情報コーナーです!

   本日は、誰でも簡単に実践できる、亀甲縛りの仕方をご紹介いたします!

   皆さん、お手元にメモと、ヒモのご用意を!

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