ホイール・オブ・フォーチュン

瑠璃羽

プロローグ 闇の中にて


闇ーーー。


どこを見ても暗く深い闇が果てしなく続いていた。今自分が垂直に立っているのかどうかすら分からない。

いや、もしかするともう自分の身体はとうに闇に溶けてしまったのかもしれない…。

「俺、本当に死んだのか…」

なぜ俺は死ななければならなかった?

自殺や不慮の事故で死ぬようなヘマはしなかった。

そうだ…、あの日あの場所で俺は殺された。あれは何の前触れもなく現れて泣き叫びながら俺を殺した。

その事を思い出したとたん激しい憎悪の感情が湧き上がり、頭に血が上ったせいか激しい頭痛に襲われた。

頭痛はいつまで経っても治まる気配はない。死ぬほど痛い。もう死んでいるのにおかしな話だと思わず笑うと痛みが少し引いた。

ふと何かの視線を感じ、辺りを見回すとさっきまで黒一色だった世界に一点の鈍い光が指していた。

「さて、この先は楽園か、煉獄か…。」

俺は、光に向かって歩き始めた。

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