第8章 取り扱い注意

第44話 その少女凶暴につき

「モウモウ!」

「あーわかったわかった。並べ並べ」


  菱華村の件で城を何日か留守にしていた為、ホルスタウロスの牛舎に入った時の歓迎のされようは凄まじいものだった。

 もみくちゃにされて体半分引き裂かれるんじゃいかと思うほどの引っ張りだこ。

 元の世界でこんなにモテたかった。


 ただしホルスタウロスは……モンスターだ。


 もうモンスターでもいっかと何かを捨て、もしかしたらモンスターだらけのハーレム作れるんじゃないかと思ったが、触手にからめとられたりスライムに溶解されてる光景が頭に浮かんで、やっぱ無理と即諦める。


「パンパンだな」


 留守中の乳搾りはディーやソフィーたちに任せていたのだが、どうにもうまくいかなかったらしい。

 自分達でもある程度は乳搾りをしたようだが、取れ高はいつもの半分以下とやはり俺がやらなくてはダメなようで、一回りも二回りも大きくなった乳房を順次絞っていく。

 気持ちよく吹きだすミルクを眺め、待ちきれないホルスタウロスが無理やり口に乳頭を押し付けてくるので、味見がてらに吸うといつもとは違った濃厚な甘みが口の中に広がる。

 うむ、実に美味い。あっさりとした甘みも良いが、たまにはこうやって何日か寝かせたものもいいかもしれない。

 だが、胸がパンパンになって辛いみたいなので、ホウルスタウロスは嫌がりそうだ。

 甘さが濃厚なのは腹にたまるなと思うと同時に、俺が糖尿病王になる日もきっと近いだろう。

 その前に血糖値のことを理解してる医者をガチャで引きたいところだ。

 いつも以上にミルクまみれにされ、たぷんたぷんに貯まったミルクバケツを持って牛舎を出ようとすると、背後から体を押さえつけられた。

 わずか数日でかなりストレスがたまっているようで離してくれない。


「モウ!」

「気持ちは嬉しいんだが、怖いやつが待ってるから行かなきゃならんのだ」


 むにゅむにゅとおっぱい揉みつつ、しばらく遊んでからホルスタウロスを城近くに放牧し、増えたノルマの為城の地下へと降りる。

 明かりのない薄暗い地下室には菱華村から運び込んだ棺が並んでいる。

 言うまでもなく黒龍隊のキョンシーたちだ。

 地下には火結晶が置かれ、暑く感じるほどの気温になっている。

 それは全て彼女達が起床したときに早く体温を上げる為だ。

 彼女達アンデッドには自分で体温を上げる機能がなく、体温が一番下がる朝は体が硬直し、思考能力もゾンビ並になってしまう。

 地下を暖かくして、早めに思考を覚醒させてほしいと言われた為にこのように暑くしているのだった。

 黒龍隊員の眠る棺を抜けて、ガチャの間すぐ隣にある部屋に入ると、そこには真っ黒い石の棺が部屋の中央に安置されている。

 悪魔召喚や吸血鬼などを彷彿とさせる部屋の内装は不気味だ。

 棺の中で手を組んで眠っている少女の血色は悪く、青白い顔をしている。

 死んでるんじゃないかと思うが実際に調べてみれば彼女の体は死体と同じだ。

 漆黒の髪にメリハリのあるボディライン。貴族までもが求婚してきたというのは嘘ではないだろう。

 ウチのチャリオットは間違いなく美人ぞろいで、誰かに自慢したくなるのだが嫉妬にかられた他の王が攻め込んでくるかもしれない。

 実は結構くだらない理由で攻められることが多いので笑いごとでもない。

 死んだように眠る……実際死んでるんだが。

 レイランの頬をペチペチと叩いてみるが全く反応はない。


「おーい、生きろー」


 何この斬新な起こし方。

 こいつこのまま死んだままなんじゃね? と思うが、この時間になったら起こせと言ったのは死んでいる本人である。


「ほんとに大丈夫なんだろうな?」


 確かに昨日「朝になったらワタシのこと起こすよろし。王になら特別にワタシの体触る許可あげるネ」と言っていたことを思いだす。

 体を触る許可っておっぱい触ってもいいってことだよなぁと解釈し、俺はいろんな意味でドキドキしながら死んでいるレイランの胸に手を伸ばす。

 優しく柔らかな胸を揉みしだくが何も反応はない。

 しばらく揉み続けているが死体が生き返る様子はない。

 おっぱい柔らかいし大きいし気持ちがいいなと思ったが、待って、これじゃ死体に悪戯するクソ野郎じゃない?

 さすがにそこまで人間終わってないよ? 

 これ誰かに見られたら言い訳できねーな。

 そう思っていると今まで全く反応のなかったレイランの目がカッと見開かれる。

 すげー怖い起き方するな、こいつ……。


「……ぁー」


 ん? 目赤くない? それにゾンビみたいなうめき声あげてるし……。

 違和感を感じながらも見守っているとすぐ近くにいる俺と目があう。


「起きたか? 大丈夫か? なんか調子悪そうだが」


 死体に調子悪そうというのもおかしな話である。


「があああああああっ!」

「えっ、なんで!?」


 レイランは俺の胸ぐらを掴むと無理やり引き倒す。

 あっ、やっばい。丸腰だからサーベルも何も持ってない。

 すげー油断してた! こいつがまた意識失ってキョンシー化する可能性は十分に考えられたはずだ。しかもここは地下室、叫んでも声が地上に届かない。

 棺の中に俺を押し倒すと、そのままレイランは自分の唇を押し付けてくる。


「ん!? んんんんんんん!?」


 戸惑っていると、俺の口の中に冷たい何かが侵入してくる。

 これって舌だよな? と思いつつ、乱暴なディープキスは続きくちゅくちゅぐちゅぐちゅといやらしい音が地下室内に響いている。

 気づけば押し倒されながらも両手はカップル繋ぎになっており、ゾンビに襲われているというより欲求不満の彼女に無理やり押し倒されている情けない彼氏みたいになっている。


「ん……ん……」


 不気味なうめき声は段々艶めかしい声にかわり、硬い両腕の関節はピンと張って曲がることがなく体ごと俺にぶつけてくる。

 荒い息遣いに口の周りを唾液まみれにされ、ようやく一度顔を離してくれた。


「はぁはぁはぁはぁはぁ」

「だ、大丈夫か?」


 レイランの目はまだ赤く、口元から涎が垂れているし、舌もだらしなく覗いている。

 肉食獣のような瞳はまだ満足したとは言い難く、あっダメかもと思った直後再びレイランは唇をぶつけるようにしてキスをする。

 高飛車なところもあるが意外とキス好きなのかなと思うのと同時に、徐々に手の力が抜けてきたので俺は両手を彼女の腰に回しきゅっと引き寄せた。


「んっ……」


 抱きしめられたのに驚いたのか、一瞬口腔内を蹂躙していた舌が引っ込んだ。

 俺は逃げようとした舌を甘く噛んで逃がさないようにする。


「ん……ふぁっ……」


 体を密着させ十分くらい経っただろうか? 段々とレイランの関節が柔らかくなっていっているのがわかる。

 ピンと突っ張ったままだった腕の関節は曲がり、硬かった腰も柔らかくなり今ではキスの快楽を楽しむように身をくねらせている。


 わかった、こいつ体が熱くなると硬直がとけるんだ。そのことに気づき、まだ硬い下半身に手を伸ばし、尻を円を描くように撫でて揉む。

 予想通り硬かった脚も柔らかくなり、甘えるように脚と脚を絡ませてくる。

 徐々に冷たかった舌も熱を取り戻し、レイランの口の中も熱くなってくる。

 真っ赤だった目も徐々に元の翡翠色を取り戻し……俺の舌を噛んだ。


「いった!!」


 血は出ていないが、結構思いっきり噛みやがった。

 至近距離に映るレイランの目には怒りが浮かんでいる。


「お前、ワタシ起こせ言ったけど、誰がここまでしろ言ったネ」


 怒りというよりは呆れに近い声をあげる少女。どうやら意識が戻って来たらしい。


「言っておくけど先に襲い掛かって来たのはお前だからな!」

「なんでワタシ、お前に噛みついてアンデットにしなかった不思議ヨ」

「お前がエロいこと考えてるからだろ」


 思ったことを言うと、レイランのグーが俺の顔面にめり込む。


「デリカシーのない男嫌いヨ。まぁ男は全部嫌いネ」

「何もぶん殴ることないだろ~」


 まぁでもコイツプライド高そうだから、キスして体を好き放題触ってぶん殴られるだけならマシなのかもしれない。

 痛む鼻をおさえながら、俺はレイランの下から抜け出し棺からおりる。

 レイランも同じように棺から出ようとするが、棺のヘリにつんのめってこける。

 慌てて抱き留めると、お姫様抱っこみたいになって、やばいグーが飛んでくると流れが読めて痛みに備え顔に力をこめる。


「何を不細工な顔してるカ? お前元が元なんだからそんなことしたら見るに堪えないネ」


 言葉きつすぎでは? 心弱かったら泣いてるよ?

 レイランは棺のへりに座ると、まだ硬い自分の脚の関節を触って確かめる。

 お前のチャイナスリット深いんだから青いパンツ見えてんぞ。

 蝶のレースが見えて、良い下着はいてるなと思った。


「一晩寝ただけでこんなにもガチガチになるネ」

「やっぱそれ死後硬直ってやつなのか?」

「多分そうネ。ワタシ別に眠らなくても大丈夫だけど、肉体は人間と同じだからあまり酷使すると壊れるネ。特に痛覚はほとんどないし、硬直による体の重さはあるけど、疲労によるダルさは全くないから、調子のって寝ずに行動するの危険ネ」

「脳は寝なくても大丈夫だけど、体に溜まった疲労は寝て回復しないとダメってことか」

「そういうことネ。でも毎朝これだけ体が固まってるの問題ネ。しかも体温下がってると自分じゃ起きれない。ワタシ起こしてもらえないとそのまま死んでるのと同じネ。王ワタシの後ろ回るね」

「?」


 言われた通り俺はレイランの後ろ側に回り込んだ。


「試したいことあるネ。そのままワタシの胸触るとよろし」

「えっ、いいのか?」

「さっきも好き放題してたくせに、今更何言ってるアルか」

「それじゃ遠慮なく」


 俺は後ろからレイランの体に抱き付くと、そのまま胸を揉みしだいた。

 こいつの服すっごい胸揉みやすい。

 服の下に手を入れて、ボリュームのある胸をわし掴んだりたぷたぷと上下に揺らしたりして遊ぶ。


「だ、誰が生で触っていいって!」

「ダメなのか?」

「だ、ダメじゃないけど……」


 何か言いたそうだが気にせず揉みしだく。


「ワタシの予想だと性感帯も痛覚と同じく死んでるはずだから、なんともないはずネ」


 涼し気に言うレイランだが、それは違うと思う。

 さっき胸や尻を触られて、徐々に硬直がとけていった。

 気持ちよくなって、体が熱くなっていったってことだ。つまり性感帯は生きてる。

 そのことに気づいている俺は遠慮なく胸を揉み、先にある突起もいじっていく。


「お前、そこはダメネ!」

「あれ、感じてるの?」

「そんなわけないネ! バカなこと言うなよろし!」

「じゃあ大丈夫なんじゃないの?」

「ぐぐぐ」


 遠慮なく揉んでいくと、レイランは凄く我慢しているのがまるわかりなくらい顔を赤くし、もじもじと脚をすり合わせている。


「可愛いやつだな」


 耳元で囁いてやると「バ、バカなこと言うなよろし!」と予想通りの答えが返ってきて笑ってしまう。

 身をよじりながらも感じてないと装う姿が微笑ましいので、きゅっと胸の突起をつまみあげた。


「んーーーーーーーーーっ!!?」


 涙目でこちらを見据える。ただここで怒っては感じていることがバレてしまうので、プライドが邪魔して何も言い出せないでいる。実に可愛いやつだと思う。


「も、もう大丈夫ネ……や、やっぱり性感帯も死んでるから……な、何も感じないネ」


 そんな肩で息しながらよく言えたな。

 めちゃくちゃレイランの血色が良くなったと思う。

 青白い肌から、ごく普通の人とかわらないぐらいの血色の良さになり、アンデッドなんて言われてもわからないだろう。


「そうか? もうちょっと確かめたほうがいいんじゃないか?」


 俺の手がレイランのおへそのあたりを撫でると、ビクンと体を震わせる。


「調子にのるなよろし!」


 レイランの放ったエルボーが見事に俺の鼻に直撃し、そのままよろよろと後ろに倒れ棺で頭を打ち、倒れた。


「だ、大丈夫カ? 思いのほかいいのが入ってしまったネ」

「いや、大丈夫だ」


 因果応報、調子に乗り過ぎというやつだろう。


「怒ってるアルか?」


 珍しく心配げな表情でこちらを伺うレイラン。


「いや、怒ってない」


 だが、少し低い声が出てしまい怒ってるみたいになって自分でも驚いた。


「やっぱり怒ってるネ」

「大丈夫怒ってないから。あぁそうだ、ウチずっと温泉わいてるから体温めるなら朝風呂入るといい。体硬直してても風呂場くらいならいけるだろ」


 さてレイランも起こし終わったし、今度は新しく入ったアマゾネスたちの様子を……。

 そう思い踵を返そうとすると、服の裾が引っ張られた。


「やっぱり、王怒ってるネ。ワタシ殴ったから怒ってるネ」

「だから怒ってないって、意外としつこいやつだなお前も」


 笑いながら言ったつもりだったのだが、しつこいの部分を真剣にとらえてしまったようで、翡翠色の目にじわじわと涙がたまっているのが見えた。


「すまん、泣いてるのか?」

「はっ? 泣いてなんかないネ!」


 と言いつつ頬をすっと涙が流れていった。


「泣いて……ないネ……」


 あっ、ダメだ決壊する。

 ボロボロと涙がこぼれ、それはもう自分ではどうしようもないレベルで泣きだしてしまった。


「王が……怒るから……悪いネ」

「すまん、怒ったつもりはなかったんだが、ちょっと怒った風に見えたかもしれん」


 グズグズになるレイランを見て、意外とメンタル弱いということに初めて気づく。

 今まで人の上に立ってきた反動なのだろうか? ここまで簡単に泣き崩れてしまうとは。

 それともアンデッドになって情緒が不安定になっているのか。

 前にフレイアから泣いている子がいたら、その泣いている原因をとりのぞいてあげれば自然と泣き止むと聞いた。もっともだと思う。

 ただ今回の泣いている原因は確実に俺なので、俺がどこかに行けば後は自然と立ち直ってくれるのだろうか。

 俺は裾を掴むレイランの手をそっと離して、ゆっくりと後ずさっていく、すると見事に逆効果だったようで涙の勢いが明らかに増した。

 騙された。


「ワタシのこと……嫌いカ?」

「嫌いじゃない」

「そっか……よかったネ……」


 良かったと言いながら泣き笑顔になる。その表情は泣かせてしまった罪悪感を刺激する。

 困った。女の子に泣かれたことなんてないので、どうしていいかわからない。

 でも嫌がられてないならコミュニケーションはやめるべきじゃない。

 俺はレイランの体を引きよせ、そのまま抱きしめた。

 嫌ならグーが飛ぶか、余計泣くはず。

 しかし予想はどちらも外れ、グズグズ言いながらも子供みたいに顔を摺り寄せてくる。


「よしよし、怒ってないからな」


 ちょっと泣き止んできた。

 よし調子にのって抱っこしちゃうぞ。

 レイランの軽い体を抱き上げ、背中を撫でながらいい子いい子と撫で続ける。

 傍から見たら一体どんな状況だと言いたくなるだろう。

 本人は全ての体重を俺に預けてべったりとくっついてくる。


「ワタシ、アンデッド。王に嫌われたらもう行き場ない……」

「そうか、その辺敏感になってるんだな。すまんかった。でも、俺はアンデッドだからって追い出したりしないからな」

「ワタシ、朝めちゃキモイネ。ゾンビと大してかわらないネ」

「あぁ意識ないのをいいことに、めっちゃおっぱい揉んだ」

「こんなのでよければいくらでも揉ませてあげるネ」

「そりゃありがたい」

「いつでも好きにしていいネ……王さえその気なら……他も自由に使っていいネ」


 おっとそこは何も突っ込まいぞ。


「ごめんネ、キモイこと言って……ワタシ死体ネ。死体の体いじったって面白くないネ」


 どうにもネガティブな思考が頭の中を回るらしい。


「俺はレイランのこと好きだぞ」

「ありがとネ。でも無理しなくていいネ」

「いや、正直さっき意識ないときとか、もっとめちゃくちゃにしてやろうかと思ったし。実はキスの経験はお前が初めてなんだ」


 そう教えると、レイランの頬にカッと赤みが増す。

 ホルスタウロスには毎日むちゅむちゅされてるのだが、あれはノーカンということで。


「ご、ごめんネ。ワタシの唇なんかで。こんなのあるからいけないネ。今すぐそぎ落とすネ」


 抱っこしている上で暴れ出した為、ぐらぐらと揺れ、俺達は棺の中に二人で倒れこんだ。


「ほんとごめんネ、こんな粗末なもので王の初めて奪ってしまって」


 またポロポロと泣きだしてしまいそうなので、俺はその唇を奪った。


「やめるネ! ワタシ汚いからキスしちゃダメネ!」

「汚くなんかない!」


 強く言い切るとレイランの体はビクンと反応する。

 そしてなすがままキスを受け入れる。

 口を離すと、またレイランはポロポロと泣いていた。


「嫌?」

「嫌じゃないネ。嬉しいネ。ワタシ人として扱ってもらってとても嬉しいネ……」


 棺の中で何度もキスを繰り返し、少女が泣き止むまで行為は続いた。

 しばらくして、いつもの調子がかえってきたのか、レイランは恥ずかし気に棺から飛びのいた。


「み、見苦しいところを見せた。忘れるといいよろし」

「お前キスしてると段々口の中あったかくなっていくんだな」

「うわああああああ! 忘れる! 忘れるネ!!」


 頭を抱えて棺にヘッドバッドしている。頭の骨折れるぞ。

 意外とインテリ毒舌系かと思ったが、人間味のある奴だと思う。


「朝どうする? 起こしにきたほうがいいか?」

「……朝のワタシ見られるの恥ずかしい」

「じゃあ……」

「でも、王に起こされて起きたい」

「あぁ、じゃあ朝は俺が来るよ。もしかしたら行けなくてサイモンが行くかもしれないけど」

「やめるね。あのワンワンが寝起き目の前にいたら驚いて首吹っ飛ばしてしまうかもしれないネ」


 朝からスプラッタ―は困るな。


「じゃ、じゃあワタシ黒龍隊起こしてくるから……」


 そう言いつつチラチラとこちらを伺うレイラン。

 なんとなく、その意味はわかっているんだが。

 俺は両手をそっと広げると、レイランは飛びつき熱いキスを俺に浴びせる。


「朝キス最高ネ。初めて死んでよかったと思ったかもしれないネ」


 しばらくイチャこいた後、どこからか視線を感じる。

 部屋の入り口から黒龍隊たちがじっと覗いてるのだった。

 結構いい時間経っているので、黒龍隊も勝手に起きてきたのだろう。


「めっちゃ見られてるぞ」

「!? み、見るんじゃないネ!」

「隊長ばかりずるいです、我々も……」

「こ、これは隊長特権ネ!」


 珍しく利権? を振りかざし、レイランは赤い顔で黒龍隊たちを追いかけ回す。

 あれだけ動ければ硬直は大丈夫だろう。

 なにはともあれ、また取り扱い注意の仲間が増えたなと思う。

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