鑑定とライターの違いと進化させた星占い

 先日とある、その昔占星術師であった方に、電話鑑定をお勧めされました。その方は、そちらの占い業界ではそれなりの人気者で、現在は鑑定のお仕事を辞めてWebにて占いに関する小説の執筆などの創作活動をなさっているようです。そもそも占いとは何なのか?といった命題にて具体的に諸々取材された結果をご自身のエッセイ作品にも残しておられます(この方ご自身のお話は今回それほど重要ではないので、とりあえずさわりのみ)。


 単に軽ーくブログコメント欄にて「お仕事としてやってみてはいかがですか?」みたいな感じだったのですが、確かに向かないバイト仕事を外に出てやるよりは、在宅でできるこういったお仕事は非常に魅力的。けれど電話鑑定……そもそも自分にできるのか?という話。何だかんだで、とりあえずちょっと私には無理っぽい?かもですー。みたいにお返事したのですが、実際どうなんだろ。


 そもそも直に電話で話したりするのは大の苦手。それでも過去に郵便事業会社のコールセンターに一時期いたくらいですから、型通りのことなら、それほど問題はないかもしれません。だがしかし。鑑定ですよ鑑定。こちらでも諸々書いている通り、占星術の知識なら普通にあります。しかし前回も実占について書きましたが、それだけではちょっと……という部分も確かになきにしもあらず。


 むしろ、その実占の経験を積むためには、これは非常によい機会で、ダメ元でもやってみる価値はありそうですが、でもそれでお金を取るのは少々気が引ける。件の人気星占いライター石井ゆかり氏などは、その昔、開設されたばかりのご自身のサイトにて、気軽に受けられそうな雰囲気で無料メール鑑定を募っていて、当時私も実際に見て貰ったりしましたが。でも正直それだけの度胸は私にはないかなぁ……。


 ただたまに出生時刻が分かったり、分からなくても(一応ホロスコープを出すことはできます)著名人のチャートを見たりするだけでは多分ダメなのだろうな。占うその人本人から直接話を聞いたり、見ず知らずの人だからこそ、星読みの腕を磨ける、ということはやはりあるのかもしれません。それでも私はやはり電話鑑定師になる気はないかも……ただ経験として一度やってみる価値はあるにしても。


 占い師や占星術師というと、実際にそういった業務をしている占い館などに登録して仕事を取るのが主流でしょうが、それでもこういったネット環境を活用してできることも普通にあるかもしれない。占い自体も、ネットの通信講座などを利用したり、冒頭の方のように直接、著名占星術師の方に弟子入りしたりといった勉強の方法がある一方で、石井氏や私自身のように完全独学で見よう見まねで占いについて習得したりといった方法もある。


 ならば実占自体も、そのWebを活用したメールなどの文章鑑定も普通に考えられると思います。ただ何度も言うように、私はそうした実質的な鑑定業で食べていこうという気持ちはない。むしろ占いをただそれだけのもので終わらせたくない。むしろそちらの気持ちの方が強く、占いにもっと発展的なクリエイティビィティを持たせたい――。


 同様に占いを扱うにしても、世の中には占いライターというやり方もあったりします。実際にどういうものが主流なのか、きちんと調べていないので分かりませんが、それでもそれも、石井ゆかり氏のように、ある程度実占経験を積んでから、Webサイトに週間占いのコーナーを持たせて貰ったり、積極的に自分のサイトで週間占いなどを地道にアップしているうちに、今現在のように諸々商業サイトや雑誌などで占い記事を書くライターとしての活動の傍ら、最終的に頻繁に本も出版することができるようになった。これは確かに理想的な形かもしれません。


 それでも、やはりそれも、占いの鑑定という域からは出ていない。確かに現在、一対一の鑑定業自体はやらず、ほとんどの著名占星術師の方がそうしているように、専らPCのコンピューター占いに特化させ、実質的に星占いに関する執筆業などにシフトなさっているようですが。だから基本、占いライター。至極シンプルな働き方です。


 でも、私自身がやりたいと思っているものは、そこからさらに進化しているもの。実占もロクにやっていないのに進化も何もあったものではないとは思いますが、理想としては、もっと違う方向性へ持っていきたい。そのために音楽(作曲)の勉強も少しずつ始めていたりします。作詞自体は断続的にずっとやってきていたので、そちらには割合慣れていますが、それでもやはり曲がないと始まらない世界なので。


 それでも、曲りなりに曲をつけたり実際に歌って貰ったりしたとしても、やはりそれは星占い。そこは明確にしておきたい。要は占いの言葉をもっと自由に表現させて、それを歌詞にして曲をつけ歌う、というだけの話で。見た目の外見的なことでは純粋な音楽なのですが、それでも、それは占いであるという――。


 鑑定という形の実占は、確かにその占星ビジネスの中核をなすものですが、たとえそれが見た目どんな姿に変化したとしても、やはりそこは変わらない。ただその表現形態そのものを著しく変えたい。言葉や意味としての言語表現だけでなく、さらに五感に訴える「感じる星占い」というのをやってみたい。同じ言葉の表現であっても、もっとポエティックに特化させた星占い。


 ああ、本当にできるだろうか? そういう思いは確かに拭い去れませんが、それでも、できると信じる他はない。というか、むしろ確信に近いものがあり、だからこそ、その自分自身の確信を信じて、ここ数年ずっとそれについて考えているのですが。


 思えばそれは、二年ほど前、土星が牡牛座から去ろうか去るまいかという頃合でした。その二年間ほどの間、なぜだか心が重苦しく何をしても手につかないような状態だった。そんな異様なスランプ状態を払拭するかのように、いきなり天啓のように降って湧いた、この占星音楽ほしうたらないの閃き。本当に何の根拠もなく、ただ「できる!」という、その確信めいたものに導かれて。


 何だかビギナーズラック、じゃないけど、本当にできそうな気がしている。単なる鑑定という形のものでもない、そして占いライターとしての活動とも微妙に違う。ただ歌詞を書くだけ。それも占星術に特化し、それをテーマとした。そもそもやろうとしていることは、占星術師の範疇でも、そして作詞家のそれでもない。どうも私は作家にはなれそうもないので、そちらを優先するというわけでは決してないのですが。


 いつぞやふいに「ほし うた うらない」=「星 歌(詞)売らない」と誤変換して、ハッと気づいてしまったんですが(笑)。そうか、そうか「売らない」のか。特別、商業的なビジネス展開というものを嫌う訳ではないのですが、確かにそういう世の売上げだとか利益重視の考え方には辟易している部分があって、それでも人間生きていくためには、ある程度は仕方ないかとも思いつつ、もしかしたら占いって「売らない」という選択肢もありなのかな?と……。


 それこそ、大昔の占星術師の御神託みたいに。それでもバビロニアの占星術発祥の時代から、それはれっきとした職業で、その時代の占星術師も、当然のことながら、それで身を立てていたはず。そう考えれば「占い=売らない」という方程式はないかもしれないのですが。……でも気分的には、そうありたい? かな。だから純粋な鑑定師だけにはなりたくない、そういう気持ちがある。


 その鑑定結果というものを、そのままの形で言葉で伝えるのではなく、もっと別の表現方法で、頭によるロジックではなく五感で感じる心や感覚そのものに伝わるものにしてみたい。そこに音楽が介在したら一体どんな感じになるのだろうか。確かにそうした好奇心がまずあって、そこから全てが始まっているのは否めないかもしれません。


 それを「進化させた星占い」と呼ぶことができるのかどうかは、すべてが動き出してみなければ、まだよく分かりませんが――。

 


 


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