さえずり小説 #四風の通り道

うたた寝シキカ

001〜100話

001〜005

001話

#twnovel

皆で苦労した末に手に入れた角笛を、少女は何の前触れもなく暖炉の火にくべてしまった。それさえあれば神竜すら操れるというのに。呆気にとられている仲間達の前で、少女は冷ややかな笑みを浮かべて言った。「操った竜で魔物を倒して、はたして正義と呼べるのかしら?」


002話

#twnovel

毎日同じことの繰り返し。平々凡々な、普通な日常。たまには、驚愕するような、人生が変わるような、そんなサプライズが起こらないかな。夕食時、父親が「今日は重大発表があるぞ」と宣言した。「父さん、仕事クビになったから」「え?」こんなサプライズ、望んでいない。


003話

#twnovel

馴染みの喫茶店に入る。今朝も、いつものコーヒーを注文しようとすると、店員がメニューが新しくなったのだと教えてくれた。メニュー表を見ると確かに昨日まではなかったものが載っている。レーズンとリンゴのトーストに目を留めた。物は試し、と注文したそれは優しい甘さだった。


004話

#twnovel

「先生、どうして?」愛弟子が尋ねた。生まれもった魔力が少なく苦労している彼には、わからないだろう。世界最高峰の魔法使い、と呼ばれる私が、わざと魔力の大半を手放してしまった理由が。私は答えた。「魔力とは、多ければ良いというものでもないのだよ。お金や権力と一緒さ」


005話

#twnovel

「優しいね」と他人に言われるのが、たまらなく嫌だった。人当たりの良い笑顔で、「そんなことないよ」と応えるが、内心は黒い焔が燻り続けていた。だって、私、人間の皮を被ったバケモノだもの。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る