生後二十五年

りろ・だは~か

はしがき

なんて恐ろしい男だったのかしら。

流石にすべての人間を見てきたわけではないけれど、私が知る人間の中では最も恐ろしい男であったと思う。

よくもまぁ、こんな男が今まで世の中に紛れて生きてこれたものよと、なんだか今の社会システムに疑問すら湧いてきてしまうわね。

でも、その男はもう、この世にはいない。

いや、正確に言うなら「実在するけれど、存在はしない」といったところかしら。

……うん、私のボキャブラリーでは、この表現が精いっぱい。

物書きっていうのに興味はあったし、それなりに(根拠はないけど)書けるような気はしてたんだけど、いざやってみると難しいものね。

やっぱり見るのとやるのとでは雲泥の差って奴なのかしら。なんかたった数行で自信なくしてきちゃったわ。

まぁそんなわけだから、この先からは彼の書置きを載せておきたいと思う。

私が自力で書くより、その方が伝わると思うし、それが出来るのは、遺された私しかいないと思うから。

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