第3話 人間転生グダグダ期
男はカドゥ神の声明を聞き、熱く意思を滾らせていた。この男は一度人間に転生したことがあるものの、十九の歳に戦場を散歩するなどと意味不明なことをのたまい、爆死してしまった哀れな阿呆である。
彼のことは愛と敬意をもって爆死野郎と呼ぶことにしよう。
「今度こそは転生して素晴らしい人間になってやる」
爆死野郎はカドゥ神が作ったといわれる応募フォームをパソコンで検索した。すぐにサイトがヒットする。
カドゥ神は力のある有名な神族である。きっと、ナルゥ神を凌駕するデザインになっているに違いない。期待とともに彼はページを開いた。
しかし――、
「何なのだこれは、どうすればいいのだ……」
そこに表示されたのは毒々しい大文字の羅列であった。どうやら人間転生に応募した者のキャッチコピーらしい。その文字列に目をやって、彼は頭を抱えた。
「誰よりもキュート! みんなのエンジェル!」だとか「超絶イケメンな俺様、触れたら火傷じゃすまないぜ」など、見ているだけで口の端がひくついてしまうような痛々しいものばかりなのだ。
「いいや、いいや! こんなものはどうでもいい! そうだ、俺と何度も転生の座を争った知り合いはいるだろうか?」
気を取り直してサイト内で知り合いを検索してみる。
だが――、
「なんだこれは! アピールポイントや特技でしか検索ができないのか! くそじゃないか! これでは知り合いが見つけられない!」
爆死野郎はため息をついて、まあいい、と萎えた気持ちを無理やりニュートラルに戻した。
「普通ならば候補者には人気ランキングがある。それを見れば顔なじみが出てくるはずだ」
そう思い、サイト内を探ってみるがそんなものはどこにもなかった。よくよく調べてみればランキングの開始は一週間後だという。
「まあ、最初は公正を期すために致し方ないか……。しかしなあ」
男は未来に一抹の不安を抱いていた。
このコンテストは、果たして正常に作用するのだろうか。
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