最弱転生者の主人公補正

第一話 遂に異世界へ?

朝起きて、学校に行って、塾に行って、家に帰る。

こんな毎日を過ごしてきた。

塾は週に二回だが、学校の毎日の課題なんかで一日が過ぎていく。

毎日が退屈だ。


はっきり言って、こんな毎日はもう嫌だ。

こんな日々を過ごしていく生活なんて地獄にも等しい。


だから思う。

異世界に行きたい、と。


だってだって異世界だよ!

いいじゃん!最高じゃん!憧れるじゃん!


自分はラノベとかアニメとか大好きだけどこの世界にずっと居たい、とまでは思わない。

でも、やっぱりラノベとかは凄く面白い。

どこが面白いかっていうと、主人公がチート能力を貰って無双するっていう展開ぎ最高だ!

いや〜やっぱり、異世界に行く=チート能力で無双する、だよね。


やっぱり異世界に行きたいな〜。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


退屈だ。

そう想ったのは何回目だろうか。

常日頃こればかり想っているから数える方が面倒になった。


今日も学校で先生に叱られた。


なんで叱られたのかって?

それゃあ課題を出していないから叱られたんだよ。

なんで課題を出さないのかって?

それゃあ課題を出すのが面倒だし、課題をやる意味が分からない。どうせ学校で習ったことの大半は社会人になっても使わないと思う。


じゃあ課題てやる必要ないよね?

勉強もやる必要もないよね?


でも、親は「高校には行きなさい!勉強をしっかりやりなさい!」ってこんなことばかり言う。


自分は中学から県立の高校へと一般入試で受かって入ることが出来たのだが、あまり勉強が出来なかったので必然的に高校も少し下のレベルの方になった。

てっきり、高校に入学したら何かが変わるものだと思っていた。

しかし現実は残酷で何も変わらなかった。

唯一変わったことは勉強が難しくなった事、それだけだ。


しかし、そんな自分にも好きなモノがある。

ラノベとアニメだ!

特に最近のラノベは面白い!

異世界転生してチート能力で無双する話や最強の主人公が活躍して世界を救う話など最高だ!

それ故に憧れてしまう。


異世界に行きたい!


絶対誰しもが必ず抱く希望。

それは、異世界に行くことだと思う。

ていうか、考えない方が可笑しいんじゃないか。


まぁ、自分は学校でも人と話す時はこんな感じの事ばかり言ってしまったり、一人の時はラノベばかり読んでしまったり、そんな感じの学校生活を過ごしていると僅か一ヶ月で見事ボッチになってしまった。

クラスの女子なんか「あいつオタクなんだって、マジでキモいよね〜」とかそんな悪口ばかり聞こえてくる。

俺からしてみればあっちの方がキモい。化粧を濃くしすぎたり、イケメンの先輩を見かければ叫んだり、お前らの方がキモいだろ!

だけど、そんなことは面と向かって言える筈がない。

しかし、自分は決してコミュ障などではない。

ちなみに同じ中学の人は一人もいない。

部活に入ろうにも仲の良い人などいないので帰宅部に入る羽目になった。

自分が通っている高校は家から遠いので電車で通学してしているが、それでも結構な時間が掛かる。


だから、自分は登下校の時は電車内でラノベを読んで時間を潰している。

当たり前だか、ラノベには勿論カバーを掛ける。その理由は在り来たりだが本が傷付かないようにする為。

誤解を招く前に一つ言っておくが、決して読んでる本が恥ずかしいとかそういう事ではない。断じてないよ。OK?


……まだ中学の頃は良かったよ。

高校に行くまでには「トラックに轢かれたりして異世界に行ける!」とか思ってたけど無理だった、現実的に。

よくよく考えてみたらトラックに轢かれたりなんかしたら異世界に行く前に死ぬと思うし。

でも、そんなので夢を諦める訳にはいかない。


というわけで神様にお祈りしようと思います!

しかし、ここで問題が発生しました。

自分の家から近いところには神社がありません。

これはマズイです。非常にマズイです。


え?何がマズイかって?それこそ電車に乗って行けばいい?

自慢じゃないが僕は地理が苦手でね、高校への電車も最近知ったばかりなのさ。

だから!その他の電車なんか分からないんだよ!

高校へは電車一本だし!

まぁ、そんなこんなで神社に行くことは無しになりました。


でもね、僕はようやく気づいたんだ。

大切なのは神社に行ってお祈りすることじゃない。本当に大切なのことは神様を信じて日々祈りを捧げればいいってこと。


まぁ私の自己紹介はこれくらいでいいでしょう、…多分。


そして今、私は学校から帰るところで電車に乗っております。明日出さなければいけない課題が沢山あります。正直やりたくないです。面倒くさいので。

私は電車の中で今ラノベを読んでいる真っ最中です。

ですが、私は乗り物に弱い方で電車で本を読んでいると酔いやすいのです。

しかし、ラノベを読むこの手は止まりません。

うーん、やっぱり可愛いな。エルフとか魔法使いとか戦士とか可愛いね。勿論全員女の子だよ。

でも現実にはこんなことは絶対にあり得ないんだよな。

特に異世界に行く事なんて。

神様!この私を異世界に連れて行ってください!

どうか、どうか、お願いします!


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


そんな事を思っていたらいつの間にか寝てしまっていたらしい。

今日は疲れていたからかな。

自分の乗っているこの電車に自分以外誰もいない。

あれ?おかしいな。いつもなら終電までは沢山の人が乗っている筈なのに。


不思議に思って辺りを見回すが誰もいない。

まだ夢の中にいるのだろうか。

電車はちゃんと動いている。

その証拠につり革とかが揺れている。

しかし、電車の窓には何も映っていない。

本当に何も。

窓から見えるのは絵の具で塗ったかのような一切濁りのない真っ白な景色。

やはりおかしい。

こんな真っ白な景色なんて自分の知っている場所にはない。

そもそも世界にこんな場所があるのか?


不思議に思いつつも座席に座るこたにする。

座席もいつもの電車のではないと思う。

いつもの電車の座席はこんなにフカフカなんかしていない。

そういえば自分のリュックなんかも見当たらない。一体どこに行ったんだろうか。ケータイや財布とか入っていたんだけど。

……この座席、お尻に優しいな……。

座席のフカフカを堪能していたら急に電車が止まり、扉がプシュ〜と音をたてながら開いた。


その開いた扉から見える景色も目で見える限り真っ白だ。

これはとにかく進めという意味なのか?

疑問が山ほど浮かんできたが、難しく考えても仕方がない。


まぁここから動かなかったら何も分からないと思う。

夢なら夢で覚める筈だし。

俺は内心ワクワクしながら、ゆっくりとその真っ白な場所へと歩を進めた。

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