原発ピグミー
D坂ノボル
プロローグ
【命懸けの抗議か、帰還不可能区域で集団焼身自殺】
大東亜電力F1原発事故の影響で避難区域に設定されていた
【動画投稿サイトで首なし豚が話題に】
二〇××年七月二十日、A県H市の養豚場で頭部が欠損した豚が生まれ注目を集めている。動画投稿サイトにはまるでギロチンに処されたような首なし豚が平然と歩きまわる奇怪な動画が公開され、視聴者から驚きのコメントが殺到。投稿主であり生産者でもある
【シベリアで野鳥が謎の大量死】
二〇×△年五月十四日、シベリアの穀倉、アルタイ地区の農村に突如、空から数百匹のオオハクチョウの死骸が降りそそぐという奇怪な事件が起きた。このオオハクチョウの群れは繁殖と越冬のため日本のF県とシベリア間を毎年往復しており地元住民にとっては親しみ深い存在。今年も元気に凱旋した白鳥たちを住民たちは笑顔で迎えたが、飛翔中の白鳥たちの隊列が乱れ、錐揉み状のミサイルのようにつぎつぎに墜落、農村が一面、白鳥たちの血と内臓にまみれる大惨事となった。四軒の農家で屋根や窓ガラスが破損したほか、三軒が半壊、二軒が全壊。十六名におよぶ死傷者が出たという情報もある。ロシア警察当局の調査の結果、白鳥の死骸からは一〇〇万ベクレル/キログラムの放射線が検出され、市民防衛緊急部隊のドミートリー・イワノフ氏は「日本の原発事故による影響では」と怒りを露わにした。大東亜電力広報部はもちろん原発事故との関連を真っ向から全面否定。官房長官は「ただちに健康に影響のある線量ではない。周辺各国にも、より一層の冷静な対応と理解を求める」と繰り返した。(J通信)
【医療スタッフ無差別殺人、動機は怨恨か】
二〇×△年十月二十六日午後一時頃、F県M市の病院に散弾銃四挺、牛刀七本、金属バットとゴルフクラブ各一本で武装した男が押し入り医療スタッフを無差別に襲撃する事件が起きた。県警によると被害医師ら十三名は市内の別の病院に搬送され、うち六名が死亡、五名が意識不明の重体、二名が精神に異常をきたし、いずれも事情聴取ができない状態。逮捕された男は「放射線被曝を理由に診療を拒否された妻が持病を悪化させて死んだ。あの世で寂しがってはいけないから、診療拒否した医師たちを道連れにしてやろうと思った」などと供述しており、県警では殺人未遂から殺人容疑に切り替えて事情を聴く方針。容疑者の無職、
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