ハッピーエンドで終わらない。

紅葉知花

第一章 赤ずきんちゃん

とある森の片隅に一軒の家が建っていた。

木製ドアは少し重そうで、屋根は古びている。この家には母と娘が住んでいた。

母親は毎日男に溺れ、娘の事は昔からしっかりと見ておらず、娘は近くの森に住んでいる猟師に生活の手助けをしてもらっていた。

それから数年後。猟師が仕事で遠征すると聞いた娘は急いで森へ足を進める。

そして、猟師の家に行くと丁度ドアの前で鉢合わせし、話を聞いた。

猟師は苦笑して一つの拳銃と可愛らしい赤色の頭巾をくれ、娘にその二つをどう使うか教えた。

「いいかい。この銃は自分が危ない時に使うんだよ。」

「危ない時……?」

娘は猟師に頭巾をかぶせ、首元で紐をリボン型に結んだ。

「そして、この頭巾は君が君である証だ。ずっとつけておくんだ。いいね?」

「うんっ!私、これずっとつける!」

「良い子だね。君の名前は赤ずきん。君の名前だ……。」

猟師の微笑みに赤ずきんと名付けられた少女は嬉しそうに笑みを浮かべた。

それから猟師は遠くの町へと旅立ってしまったのである。

赤ずきんは頭巾を握りしめ、少し笑いながら家に向かった。

そしてドアを両手で開けると、母親と知らない男が仲良く話していた。

此方には目もくれずキスを始めている。

赤ずきんは黙って自室へ戻り、硬いベットに倒れ込んだ。

うとうとしながら猟師の顔を思い浮かべ、頬が緩む。

すると母親が部屋に入って、赤ずきんを呼んだのだった。

赤ずきんは何だろうと胸を躍らせ、細かな足取りで付いて行き母親の後ろにひっそり隠れるように立っていた。

「紹介するわね。今度結婚する人よ。」

「宜しくな。お嬢ちゃん。」

母親の前に立つ、背の高い男は母の3度目の結婚相手らしい。

赤ずきんは嫌味に、笑顔で挨拶した。

どうせ直ぐ別れるでしょ、幼心にそう思い、お土産の熟した林檎を一つ頂いた。

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