秘密のカレはV(ヴィジュアル)系

ルカ(聖夜月ルカ)

ライヴ

第1話

「いやだったらいやだって!」


私は、分厚い扉の前で、足を思いっきり踏ん張った。




「あんた、本当に往生際が悪いわね。

ここまで来て何言ってんの!?

さぁ、行くわよ!」


「やだったらやだーーー!」


「もうっ!いいかげんにしてよ!

さ、早く早く!もう始まっちゃう!」


「やだーーーーー」


私の絶叫を無視して、さゆみは、右手で扉を押し開け、左手で私をものすごい力でひっぱった。

私は転がるようにホールの中に入れられて…




「あ……」


荘厳なSEに乗せて、真っ暗なホールに急に色とりどりの光が満ち溢れ…ステージの後ろにはSSの大きな文字が輝く。

やがて、スポットライトがステージの上の人物を照らし出して…




「今日も燃え尽きるまで歌うぜーーーー!」




高く澄み切った金属のような声…

それに女性客の悲鳴にも似た歓声が応える。




ホールの中は激しい音と煌びやかな光の洪水で、私は眩暈がしそうになるのを懸命にこらえた。


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