第60話 世話が焼ける④

その日は、変な女に尾行されていた。

迷子をあやしていたときも、万引き少年を止めたときも、ひったくり強盗をやっつけたときも、ずっと見られていた。


「私はこういう者よ」


ふうん、それで刑事さんが何の用さ。


「ずっと疑問に思っていたの。この町は事件や事故が少なすぎるって。統計上あり得ないくらいにね」


いいことじゃん。


「それで証言を集めて分かったこと。この町には……」

女刑事さんはビシッとこちらを指差した。


守護天使ガーディアンがいたのよ!」


はぁ、付き合いきれないね。


「待って!ねえ、私のところに来ない?私なら優秀なキミに相応しい仕事を用意してあげられるわ」


ごめん、もう行くよ。御主人が待ってるんだ。



「どこ行ってたんだよ、このバカ犬」


バカは御主人だろ。

そんなに汗だくで、必死に探しすぎだよ。

あ、ダイエット中なのにまたプリンとか買って!


「今度はひとりで全部食うなよ?」


だって御主人が!


「ちゃんと半分こな」



ふ、ふん。

ばーか、ばーか。

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