第46話 ユビキタスのゴースト

近年はICチップによって、ほぼ100%の犯人検挙率が達成されている。


元々は駅の改札で使用されていた非接触型のICカードをミクロサイズにしたもので、これを全ての製品に添付することが法律で義務づけられている。


一方でその読み取り機も町中の至るところに設置されている。

だから全ての製品はどこの工場で製造されたのか、いつどの店で誰に購入されたのか、その人物はその後どこをどう移動したのか、政府の中央サーバーにすべての情報が蓄積されるのだ。


ただしこの技術には問題点もある。

製品から剥がれたり、処分場で燃え残ったりしたチップが風に乗って舞い上がり、読み取り機に掛かってしまうらしい。

そのためとっくに死んでいるはずの者たちがあちこち徘徊しているように見える現象、すなわち情報ゴーストが発生してしまうという。



監視員によれば、毎年女子校の修学旅行の時期になると、なぜか男のゴーストばかり大挙して女湯に集まってくるそうだ。

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